2020 Fiscal Year Research-status Report
産後慢性化するマイナートラブルの新しい予測指標とスクリーニングの開発
Project/Area Number |
20K19160
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
坂本 飛鳥 西九州大学, リハビリテーション学部, 講師 (90758715)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 産前産後 / 腰痛 / 骨盤痛 / 腹直筋離開 / 排尿機能障害 / 産後うつ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、日本人女性の産後慢性化するマイナートラブル(尿失禁、腰痛・骨盤痛、腱鞘炎、腹直筋離開、子宮脱など)の原因や危険因子を明らかにし、産後慢性化するマイナートラブルの新しい予測指標・スクリーニングを開発することである。2020年度に実施した研究実績は、慢性化するマイナートラブルの危険因子について、スクリーニングを開発するために必要なシステマティックレビューの論文を2編作成し、1編は海外のジャーナルに投稿準備中で、残り1編は論文作成中である。投稿準備中の研究成果は、妊娠中の姿勢変化と骨盤アライメント変化がどの程度出現し、その変化が疼痛とどのように関連するか明らかにすることを目的にシステマティックレビューを行った。18編の論文を選出し、論文の質と姿勢変化の分析方法、胸郭と腰部、骨盤の形状がどのように変化するのかを妊娠初期から産後にかけて分類し、比較検討した。結果、妊娠初期は胸郭の変化が中心に起こり、妊娠後期にかけて腰椎の前弯が増強するが、腰椎前弯について有意な差がないという研究も存在した。また、腰椎の前弯増強と腰痛・骨盤痛の関係については、有意に関連しておらず、これまで妊娠に伴う腰椎の前弯増強は腰痛を誘発するとされてきたことを否定する研究が多かった。この結果より、因子分析を行う調査内容について、身体的特徴の調査内容を決定することができた。もう一つの研究は、腹直筋離開について、その危険因子、原因を明らかにすることを目的にシステマティックレビューを行った。6編の研究論文を選出し、研究の質、方法、危険因子について検証した。結果、年齢・体重増加・出産方法・新生児体重・BMIは腹直筋離開と相関が低かったが、重いものを持ち上げる、多出産・妊娠21週で週3回以上の運動を行う項目について相関が高かった。この結果を踏まえ、調査内容を追加、修正していく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和2年度は①骨盤痛に関する日常生活活動と自立神経系の変化に関する研究、②骨盤形態と骨盤底筋群の形状の変化と排尿障害、子宮脱との関係に関する研究③腹直筋離開、腱鞘炎と骨盤・胸郭アライメントに関する研究を行う予定であった。しかし、昨年3月頃より新型コロナウィルス感染拡大に伴い、予定していた上記の研究が、医療機関への出入りが制限され、妊婦を対象とするため、感染のリスクを考慮すると実施できなくなった。 また、リクルートも難航している。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、予定していた研究について、研究デザインや方法を変更し、縦断的観察研究を実施できるように準備している。アンケート調査やオンラインなどのICTを使用し、データを収集できるように方法を検討している。
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Causes of Carryover |
当初予定では、研究を実施するうえで超音波画像診断装置の購入や医療機関へのデータ収集のための旅費の支出を予定していたが、新型コロナウィルスの感染拡大に伴い、予定していた測定などが実施できなかったため次年度の使用額が生じた。研究方法や測定実施方法の変更に伴い、必要な物品(超音波画像診断装置、自律神経計測装置など)を次年度購入予定である。
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