2020 Fiscal Year Research-status Report
看護小規模多機能型居宅介護の特長を生かした高齢遺族への新たなグリーフケアの検討
Project/Area Number |
20K19202
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
清水 恵 東北大学, 医学系研究科, 助教 (00843749)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 認知症高齢者遺族 / 家族介護者 / 看護小規模多機能型居宅介護施設 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、看護小規模多機能型居宅介護施設(以下、看多機)においての、配偶者を亡くした高齢者遺族への適切なグリーフケアの提供を検討することを最終目標としている。 看多機は、訪問看護・介護、通所、宿泊を柔軟に組み合わせたサービスが提供できるため、高齢夫婦が二人とも同じ施設を利用し、一方が死亡した後も、もう一人が引き続き同じ看多機を利用していることも多く、継続的なグリーフケアが受けらると考えられる。さらに、高齢者遺族を支えるためには、周囲の家族員と連携していく必要がある。 そのため、今年度はまず、看多機を利用する高齢者遺族の周囲の家族員が、高齢者遺族に対しどのような死別後の支援を行っているか、高齢者遺族を支援するうえでどのようなニーズがあるかを明かにすることとした。看多機を現在利用中の高齢者で過去3年以内に配偶者を亡くした方の家族介護者4名へのインタビュー調査を行った。すべて、電話によるインタビュー調査となった。被介護高齢者遺族は全員認知症高齢者であった。インタビュー結果より、家族介護者は、認知症高齢者遺族に対して、「死別」や「死別後の高齢者遺族の生活の変化」に関連したサポートに加えて、「認知症」であることに関連したサポートを担う必要があり、看多機の柔軟なケア提供体制が助けになっていることが明らかとなりつつある。しかし、インタビュー対象者数が少なく、今年度も引き続き同インタビュー調査を続けていく。さらに、認知症を有していない高齢者遺族の周囲の家族員へのインタビューが実施できておらず、今後対象者数を増やす中で、当該家族員へのインタビューを実施する予定である。 さらに、看多機のスタッフが提供する高齢者遺族へのグリーフケアの提供の実態についておおよび、提供可能な適切なグリーフケアの模索のために、現在、今年度質問紙調査を実施することを予定しており、準備を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染拡大の影響により、研究実施の中断や、他県への渡航の制限、対象者へ対面による協力依頼や調査が困難となり、インタビュー調査の実施が遅れている。さらに、現段階では宮城県内の看多機のみでのサンプル数の確保となっているため、今後、本研究への調査協力施設を増やす必要がある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2021年度は、新型コロナ感染拡大が続いていることから、インタビュー調査は、Web会議システムを活用した調査、または電話による調査を進められるよう、協力施設へ依頼を続けていく。特に、看多機スタッフの提供しているグリーフケアの実態についてのインタビュー調査は、まず全国の看多機に調査協力の依頼を送付し、オンライン会議システムを使用したインタビュー調査を行う。その結果を分析し、結果に基づいて、全国の看多機へのグリーフケアの実施実態把握のためのアンケートを作成し、郵送による質問紙調査を実施予定である。さらに、当初の計画では、遺族またはその家族介護者へ、受けたグリーフケアに関する調査は含めていなかったが、2021年度に改めて計画を見直し、必要に応じて計画に含めていく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染拡大の影響により、県をまたいだ調査ができなかったことにより、調査のための旅費に係る支出が減少した。次年度も引き続き、新型コロナ感染拡大による影響はあると考えられるが、全国の看多機へ調査協力依頼を送り、調査に応じた施設とは、オンライン会議システムを通して、インタビュー調査を実施することを予定している。そのため、調査依頼の郵送や、オンライン会議実施のための機器の準備、調査協力者への謝礼のために使用することを予定している。
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