2021 Fiscal Year Research-status Report
多施設共同コホートを用いた睡眠状況と生活習慣病との関連の解明
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20K19203
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
高橋 真美 東京大学, 医学部附属病院, 看護師 (90865891)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 睡眠 / 肥満 / body mass index (BMI) / 多変量解析 / 縦断的分析 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、多施設共同コホートを用いて睡眠の現況を調査し、睡眠と生活習慣病との関連を横断的・縦断的な統計手法により厳密に解明することである。 1年目(令和2年度):解析データベースの作成、および、データの傾向を施設ごとに確認したところ、生活習慣病の危険因子・背景因子として「睡眠」が同定され、短時間睡眠と肥満症との関連が明らかとなった。 2年目(令和3年度):上記、単施設の結果について、英文原著論文の作成に取り組んだ。また、多施設のデータを合算した解析を終了し、結果の解釈や追加解析の必要性を共同研究者と議論中である。 今後:多施設の結果の論文化を目指す。そして、本研究結果に基づく睡眠保健指導要領を作成し、健常受診者に対する指導の有効性・有用性を検証する前向き研究(2022年度 科研費内定課題)へ進む。 【統計解析】単変量解析、複数の背景因子や時間的影響を考慮した多変量解析により、関連や因果関係を推論した。 【対象集団】 [横断研究]東大病院予防医学センター2012年10月~2020年・亀田総合病院附属幕張クリニック2010~2020年までの期間に人間ドックを受けた全受診者(複数回受診の場合は初回を採用)67,347人のうち、各種検査値(BMI、SBP、DBP、FPG、 HbA1c、LDL-C、HDL-C、TG、UA)や生活習慣(睡眠時間・喫煙・飲酒・運動)に関する質問項目に欠損のある者を除いた62,056人を解析対象とした。[縦断研究] 登録期間(予防医学センター2012年10月~2014年・亀田幕張2010~2014年)に人間ドックを受けた全受診者44,892人のうち、2015~2020年の追跡期間にリピートした24,670名のデータを用いた。ベースライン時点で既に肥満のある者を除いた18,766人(肥満発症2,236人)を多変量解析の対象とし、登録期間以降、毎年の受診時点でBMIを確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初の計画では、本研究課題の成果としてまとめられる睡眠保健指導要領の作成へ着手している時期であるが、実際は、結果の公表に向けた論文化という段階に留まり、進捗がやや遅れている。遅延の原因として、COVID-19の世界的な感染拡大とこれに伴う検診受診者の減少と様々なリサーチをサポートするインフラの悪化の影響が大きい。これに加えて、睡眠保健指導(前向き研究として)を展開するには、現場の調整が必要不可欠であり、その調整過程に時間を要したためである。 しかしながら、本研究の次のステップである「睡眠保健指導要領の有効性/有用性を検討するための前向き研究」計画の立案がされ、切れ目のない研究と方向性が見通せているため、問題はないものと考える。 現在、多施設のデータを用いた解析結果の解釈について共同研究者議論中であり、今後、速やかに論文化へ進む予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究成果の公表と並行して、継続的な研究の実施に向けた準備をする。 まずは、多施設の結果について速やかに論文を作成する。そして、正式な査読を経た後、睡眠保健指導要領を作成し、次の研究課題である「健常受診者に対する睡眠指導の有効性/有用性を検証する前向き研究」へ進む。リーフレットの作成や、標準化された内容で指導を提供するためのロールプレイ、現場に組み込むためのシミュレーション計画、倫理審査、等の環境を整える。
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Causes of Carryover |
進捗がやや遅れている原因として、COVID-19の世界的な感染拡大とこれに伴う検診受診者の減少と様々なリサーチをサポートするインフラの悪化の影響が大きい。これに加えて、睡眠保健指導(前向き研究として)を展開するには、現場の調整が必要不可欠であり、その調整過程に時間を要したためである。現在、第1段階のデータ解析は全て完了し、結果の公表に向けた論文作成へ取り組んでいる。今後、正式な査読を経た後、本研究結果に基づく睡眠保健指導要領を作成し、よりエビデンスレベルの高い次の研究として「健常受診者に対する睡眠保健指導の有効性/有用性の検証」へ進む計画である。論文校正、および、標準化された内容で保健指導を提供するための媒体の作成や、指導記録を残すシステムの導入、等へ、研究費の使用が必要である。
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