2021 Fiscal Year Research-status Report
ALS患者・家族のピアサポートの様相とピアサポート支援プログラムの試案の作成
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20K19209
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
瀬戸 清華 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (80805614)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ALS / ピアサポート / 物語 / 支援プログラム / 相互理解 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ALS患者とその家族(支援者)が、ピアサポートを通じてどのような病の物語を語り、語られ、その物語によって相互に何を得ているのかを明らかにし、その様相に適応したピアサポート支援プログラムの試案を作成することである。2021年度は以下のことを実施した。 2020年度検討した病の不確かさを語る存在としてのピアの関係性の発展を行いつつ、不確かさを統合し前に進む力をうみ出すためにピアサポートを作用・循環させている経過について、日本ALS協会石川県支部役員との意見交換を行った。その結果、自身とピアの経過を重ね合わせ、これから起こりうることの予測や意思決定の参考にすること、在宅療養を行う上での医療機関や専門職・機関とのつながり方、実際に使い勝手のよい医療機器やIT機器、県や国への働きかけの要望を物語ることが多いと情報収集できた。また、患者交流会では、患者同士の物語のやりとりではなく、患者から家族(支援者)を通して、家族間のピアサポートの発展の目的を強化している現状があった。 また、この情報収集によって、支援者は語りの聴き手が不在とならないように、患者・家族の聴き手に徹していること、患者の病状の悪化から一度交流会などに不参加になると語りが中断し、語りを再開することの困難性を感じていることが明らかになった。 今後は、支援者の状況を踏まえながら、「コロナ禍における患者交流会の場で発生するピアサポート」と「在宅に居ながら発生するピアサポート」の実態を、参加観察に加えてインターネット(もしくはSNS)による調査によって明らかにする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
Covid-19感染症の蔓延により、年1-2回開催されていたALS療養者の集いが全国的に見送られており、家族間の直接的なかかわりの機会も自粛されている。2021年度も調査協力を想定していた県支部の集いが中止となり、患者交流会の場におけるピアサポートの実際を、参加観察による調査を見送っている。 また、在宅療養の場に研究者が伺い、物語のやりとりを記録する数時間の時間をともにすることに抵抗を示される参加者もおり、研究者の参加観察における患者・家族の視点に立った感染対策実行のへ再考と、参加協力者(支部)の拡大に向けた依頼と調整に時間を要している。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年6月に、地域を拡大して北信越、関東の日本ALS協会支部への調査協力依頼を行うことになっており、ALS患者・家族間で機能する在宅に居ながら発生するピアサポートの実態調査を、インターネット調査から実施する。 文献検討や支援者からの聞き取りによって明らかとなっているピアサポートの現状とも合わせ見て、Covid-19との共存における新しいピアサポートのあり方や、ITデバイスや書面を通じた物語のやりとりの有効性や課題についてまとめ、統合的に支援プログラムの試案作成につなげたいと考える。
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Causes of Carryover |
Covido-19 の蔓延によって教育実習業務がある中、県境を越える調査や学会等の意見交換の場に出向くことが困難であった。また参加協力者の同意が得られず参加観察や質問紙調査を見送っており、実施に至っていない。そのため、調査に係る旅費や謝礼、データの分析費用を支出しなかったためである。2022年度は、日本ALS協会支部の活動の状況について更なる情報収集を行い、在宅に居ながら患者・家族間で発生するピアサポートの実態を調査し、支援内容の洗い出しと支援プログラムの試案の作成を行う予定であり、残額をこれに充当する予定である。
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