2023 Fiscal Year Research-status Report
ALS患者・家族のピアサポートの様相とピアサポート支援プログラムの試案の作成
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20K19209
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Research Institution | Ishikawa Prefectural Nursing University |
Principal Investigator |
瀬戸 清華 石川県立看護大学, 看護学部, 助教 (80805614)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ALS / ピアサポート / 当事者性 / プログラム / 支援 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、ALS患者がピアサポートを通じて当事者間でどのようなやりとりを行い、そのやりとりによって相互に何を得ているのか当事者間のピアサポートの様相を明らかにすることと、様相に適応したピアサポート支援プログラムの試案を作成することを目的としている。2023年度は以下のことを実施した。 支援団体による全国の患者会のピアサポートに参加し、参加者の人数や会の目的・内容、患者同士のやりとりや交流を見学し研究方法の再検討を行った。 また、参加を重ねALS患者間のピアサポートの機会に入り込み、関係構築を行うことによって、当事者間のやりとりの関連性や、会を超えた会話の連続性の視点を強化し、エスノメソドロジー手法をもちいた分析を行った。 つながりの連続性は、病状の進行や会への参加困難を理由に、意思伝達装置や電子機器を用いたSNSやメールという方法に変えて保持していた。つながりを保持するためには当事者以外にも支援者が必要になる状況を生み出していることがみえてきており、当事者側からみたピアサポートは、場のちがいや対面/オンラインなどの開催方法のちがいによって、支援の内容が大きく異ならない状況があると考えられる。 このことから、2024年度は、調査をもう数例重ねたうえで内容の分析を進め、取り出した支援の要素をもとに、支援プログラムの試案を作成・提案する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の流行により研究フィールドの確保が困難であったために調査が遅れていたが、研究デザインや方法の再検討と変更により、調査を開始できた。 しかし、調査が目標数に達していないうえ、研究協力者の体調面の問題などから調査が途絶えることもあった。支援者や当事者とともにピアサポートの場を作り出すことの進行・運営に難儀したほか、データの理論的飽和までに時間を要していることから、これまでの遅れを取り戻せていない状況にある。 調査内容の分析においてサポートを受けられる環境が整ったため、ALS患者同士に広がるやりとりを丁寧に分析し、当事者間のやりとりの様相に応じた現代にあった支援プログラムを作成する。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでつながった患者の生活のなかでのピアサポート場面に入り込むほか、6月から8月に予定されている支援団体によるピアサポートの場に参加し、調査・分析を進める。この間、継続して所属大学の難病にかかわる研究者や、ピアサポートの当事者研究に精通した研究者と定期的にミーティングを重ねることで、研究スピードを加速させる。支援プログラムの試案を支援団体を通して当事者や支援者に提案し、試案したプログラムに関しての意見を得る。
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Causes of Carryover |
研究方法の変更によって、調査はオンラインで行うこともあり、旅費の支出が予定よりも減っている。また研究遂行の遅れが生じていることから、データ分析や学会発表にかかる費用を支出できていない。 調査・分析を行う見通しがついていることから、残額をピアサポートの場の運営にかかる物品や会場費、調査旅費、人件費に充当する予定である。また、研究方法の変更で意思伝達装置やSNSの管理、持続的な録画が必要となっており、データ保管に関する物品にも充当していく予定である。
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