2023 Fiscal Year Annual Research Report
履くだけで足背部浮腫を改善する介護負担に配慮した室内靴の開発
Project/Area Number |
20K19210
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
上田 映美 公立小松大学, 保健医療学部, 准教授 (40826559)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 下腿浮腫 / 高齢者 / 圧迫療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
下腿浮腫のための圧迫商品開発のためのニーズを調査することを目的に、北陸3県にある高齢者福祉事業を展開する事業所458施設の職員に対し、電話調査を実施した。結果は、207施設が研究に同意し、回答した(回答率45.2%)。回答した施設は、デイサービスが55(26.6%)で最も多く、回答者の職種は、看護師が72(34.8%)名で最も多かった。下肢浮腫のある利用者がいる施設の割合は88.9%であり、そのうち、圧迫を実施している割合は、40.2%であった。圧迫を実施しない理由は、圧迫実施によるトラブル発生回避が最も多かった(28%)。弾性ストッキングの使用の際に感じる不満は、弾性ストッキングの着脱に対しての不満が多かった。弾性ストッキングに求めるニーズは、6つのカテゴリが抽出され、「皮膚トラブルが起こらない」「不快感が少ない」「着脱しやすい」「経済的な負担が少ない」「洗濯・乾燥ができる」「個別に対応できる」であった。 足背部に最適な圧迫圧を決定することを目的に、足背部の圧迫圧を0mmHg(圧迫なし), 5mmHg, 14mmHg, 23mmHgの4群で比較する準実験研究を実施した。対象者は、下腿浮腫の自覚症状のある健康成人7名とし、座位60分前後での浮腫軽減および静脈還流促進効果を比較した。アウトカムは、浮腫軽減効果を足背部周囲径で測定し、静脈還流の促進を、大伏在静脈の血管径と足背部の毛細血管の血流量で測定した。結果、足背部の周囲径は、圧迫なしと比較して、5mmHgおよび14mmHgで有意に減少した。大伏在静脈の血管径は、14mmHg群が23mmHg群と比較して有意に血管径が増加した。足背部の血流量に変化はなかった。以上の結果から、足背部の圧迫圧は、5~14mmHgでの圧迫が効果的である可能性が示唆された。
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