2021 Fiscal Year Research-status Report
高齢ボランティアと学童保育児童との関係場面にみるソーシャルキャピタルの形成過程
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20K19230
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Research Institution | Kyoto Koka Women's University |
Principal Investigator |
諏澤 宏恵 京都光華女子大学, 健康科学部, 准教授 (60531142)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 高齢ボランティア / 学校 / 連携 / ソーシャルキャピタル / ライフスキル |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,学童保育でのライフスキル(「日常生活で生じるさまざまな問題や要求に対して,建設的,効果的に対処するために必要な能力(WHO,1993)」)の獲得場面にみる,高齢保育ボランティアと児童の対話から生成される相互作用の影響としての社会関係資本(ソーシャルキャピタル;SC)の内実を質的に明らかにすることを目的とする。 小学生の放課後学習支援に従事する高齢ボランティアを対象とした前回調査では,ボランティアの《年齢》が児童から家族間ストレスを打ち明けられる「信頼」などの「認知的」要素となり,ボランティアが居ることで暴力行動を抑制する《安全基地》をもつ「構造」となり,囲碁などの《非言語コミュニケーション》が児童とボランティア双方の心身の復調の契機「互酬」となっていた(諏澤,2019)。これらは,高齢保育ボランティアの発達課題であるgenerativity(世代性)が,SCの構成要素である「構造」「認知」「互酬性」と関連深いことを示唆しており,SCと,ミクロレベル(個人),マクロレベル(集団社会)との相互作用を示す結果である。 こうした背景をもとに,本研究では,コロナ禍の下,研究フィールドへの介入制限によりフィールドを放課後まなび教室(居場所創生事業)に変更した。まずはじめに,放課後まなび教室などのボランティアとの比較のため,同地域の民生委員を対象とした質問紙調査を実施し,現在その結果を分析中である。次に,今現在,放課後まなび教室での参与観察調査実施に向けて主催自治体担当課など関係各方面への連絡調整を行っているところである。また、研究期間の延長申請を行い、2022年度の調査開始に備えて、学校保健、学校教育と地域保健の連携場面を中心に、地域ボランティアとの交流による児童生徒への影響について、先行研究を概観し、図書の購読を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の下、研究フィールドへの介入制限により、フィールドを学童保育から、放課後学び教室に変更するため、関係各方面への連絡調整と、研究倫理審査に向けた準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の研究計画は、フィールドでの観察研究であったが、新型コロナウイルス感染症の収束の目途がたたないことより、学校等フィールドへの入構制限を想定し、観察時間の限定や、インタビューなど他の研究方法への切り替えも検討中である。
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Causes of Carryover |
これまで、コロナ禍の下、研究フィールドへの介入制限により、2021年度末に研究期間の延長申請を行った。2022年度は、調査フィールドの再調整と本研究の実施を研究倫理審査に諮り、観察調査遂行と誌上・学会報告を行う。研究費は、調査謝礼、備品購入、学会発表、誌上報告に係る経費に充てる。
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