2020 Fiscal Year Research-status Report
災害用段ボールベッドがもつ体圧分散能と睡眠改善効果に関する実験的検証
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20K19264
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Research Institution | Kansai University of Social Welfare |
Principal Investigator |
濱西 誠司 関西福祉大学, 看護学部, 准教授 (80633007)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 段ボールベッド / 避難所 / 体圧分布 / 筋骨格系への負荷 / 睡眠の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度は新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け人を対象とした実験ができなかったため、人体型の高機能シミュレーターを使用し、災害用段ボールベッドとブルーシートに仰臥位で臥床させた際の身体接触圧と体圧感知面積を比較することで、災害用段ボールベッドの持つ体圧分散能を予備的に検討した。なお、実際の避難所では段ボールベッドに布団や薄いマットレスを敷いて使用されることが多いことから、段ボールベッドに5cm厚のマットレストッパーを敷いた場合のデータも合わせて取得し、3群間で比較した。災害用段ボールベッドとブルーシートにシミュレーターを臥床させて得られた身体接触圧と体圧感知面積を全身および頭部・胸部・腰部の各部位に分けて評価した。各条件において10回ずつ測定したデータを一元配置分散分析とボンフェローニの多重比較試験によって分析したところ、段ボールベッド単体での使用において身体接触圧はブルーシートへの臥床と比べて有意な低値を示さなかったが、体圧感知面積はブルーシートに比べ段ボールベッドの方が有意に広かったが、その差は約16%に留まっていた。一方、段ボールのベッドにマットレストッパーを追加すると、段ボールベッド単独で使用した時よりも身体接触圧および感体圧知面積のいずれも大きく改善され、段ボールベッドの単体使用ではブルーシートのみを敷いて臥床した場合と比べて十分な体圧分散効果が期待できず、避難者の筋骨格系の負担が軽減されない可能性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け予定していた実験を行うことができなかったが、すでに本研究に必要な測定デバイスは購入しており、測定・解析にかかる詳細なプロトコルの構築を進めている。また、本研究にかかる実施計画は本学のIRBから承認を得ており、実験が可能な社会情勢になり次第実施できる準備は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ行動制限が緩和され次第、2021年-2022年にかけてPSG等を用いた睡眠の質の評価実験を実施していく予定であり、得られた結果は2022年度以降、国内外のジャーナルおよび学会で発表していく予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて予定していた実験および成果発表が困難となり、旅費及び人件費・謝金に差額が生じた。また、2020年度に購入予定であったポリソムノグラフィについてもメーカーの生産が遅れてしまい、購入時期が2021年度にずれこんでしまった。2021年度以降、新型コロナウイルスの感染拡大に収束の兆しがみえれば、実験をすすめることができ予定していた研究費の執行が可能になると考える。
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