2021 Fiscal Year Research-status Report
Empowerment評価を用いた入院高齢患者の不活動要因と構造の解明
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20K19265
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Research Institution | Naragakuen University |
Principal Investigator |
坪内 善仁 奈良学園大学, 保健医療学部, 助教 (90849473)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | Empowerment / 高齢者 / 不活動 / 入院患者 / 評価尺度開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
Empowermentは高齢者の潜在能力発揮や社会参加に重要な概念であることが示され,国内の高齢者支援でも徐々に浸透している.しかし,高齢患者のEmpowerment尺度は国内で開発されておらず,高齢患者の生活機能や不活動とEmpowermentとの関連は示されていない.そこで,本研究では高齢患者のEmpowerment評価尺度を作成し,評価した結果を用いて高齢患者の不活動とEmpowermentとの関連および構造を解明することを目的とした.研究計画は,まず高齢者のEmpowerment概念を明らかにする.次に,高齢患者のEmpowerment尺度であるPatient Empowerment Scale (PES)日本語版を作成し,信頼性と妥当性を検証する.そして,PES日本語版を用いて生活機能や身体活動量とEmpowermentとの関連および構造を検証することとした. 令和3年度は,令和2年度に行ったEmpowerment概念分析の結果を論文としてまとめ,投稿・掲載された.また,PES日本語版の作成では,目標とした100例の調査を終え,最終的な分析対象者は151例であった.結果は,PES日本語版は37項目となり,十分な妥当性と信頼性のある尺度であることが明らかとなった.一方で,不活動とEmpowermentとの関連および構造の検証では,Covid-19の収束が見込めない状況から,退院後の自宅訪問や身体活動量計を貸与した積極的な調査は困難であった.さらに,地域生活では不要不急の外出制限下であることから,退院後の参加については,調査結果の信頼性が乏しいことが考えられた.そこで,入院中の身体活動量および生活機能の調査結果を用いて,PES日本語版との関連を検証した.その結果,エンパワメントは高齢患者の身体活動量に有意な影響を示した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和2年度は,Covid-19の影響により研究実施施設への立ち入りが行えず,目標とした100例に到達されなかった.しかし,令和3年度は,研究協力者の調査により,目標以上の151例の調査を行うことができた.さらに,概念分析についてまとめた論文は掲載され,調査結果を分析・整理したPES日本語版の妥当性と信頼性の検証は論文を作成し,投稿中である.同様に,Empowermentと不活動との関連については,退院後の身体活動量調査は困難であったが,入院中の調査結果を使用することで安全かつ信頼性のある調査結果を得ることができた.さらに,分析結果について整理し,現在論文を作成中である.以上のことから,令和3年度は順調に進展したと判断された.
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Strategy for Future Research Activity |
PES日本語版の信頼性と妥当性の検証については,令和4年度上半期の論文掲載を目指している.また,不活動とEmpowermentとの関連および構造の検証については,令和4年度上半期には論文執筆を終え,論文投稿を行う. 一方で,高齢患者の不活動とEmpowermentとの関連および構造の検証については,実際に退院後の身体活動量を調査し,Empowermentとの関連を検証していく必要がある.そこで,令和4年度下半期には,退院後の身体活動量やEmpowerment評価の方法を再検討し,新たに研究計画の立案を行う.その際,Covid-19の収束が困難な状況を想定した計画を検討する方針である.
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Causes of Carryover |
旅費について,令和2年度に引き続き,Covid-19の影響により研究代表者による研究施設の出入りが禁止(直接の調査・管理)となった.そのため,データ収集・解析を目的とした奈良学園大学-秋津鴻池病院間の旅費使用がなかった.さらに,参加予定であった学会がオンライン開催であったこと,令和3年度に発表予定であった国際学会が令和4年度に延期となったため、奈良-フランス間の学会旅費の使用がなかった. 人件費についても,研究計画では自宅退院後の身体活動量調査および生活状況調査のために,人件費と謝金を設定していた.しかし,Covid-19の影響により退院後の直接的な自宅訪問と調査,身体活動量計の貸与を伴う評価が実施できず,人件費と謝金の使用がなかった.
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Research Products
(2 results)