2020 Fiscal Year Research-status Report
リアルワールドデータを活用した居宅介護におけるケアマネジメントの評価
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20K19271
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊藤 沙紀子 大阪大学, 医学系研究科, 特任講師(常勤) (80734152)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ケアマネジメント / 介護 / リアルワールドデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、科学的根拠に基づいた介護政策を促進するために、介護報酬加算の有用性を検証することである。具体的には、介護報酬加算の要件を満たすケアマネジメントは、一般のケアマネジメントと比較して、要介護度の悪化リスクを有意に低減させるのかを検証する。 ドナベディアンモデルの枠組みに沿ってケアマネジメントの質を評価する。ドナベディアンモデルとは、アベディス・ドナベディアンが提唱した医療の質を評価する枠組みであり、構造(物的および人的資源)、過程(ケア提供者の行動や態度)、アウトカム(患者の健康状態の変化)の3側面から評価する。本枠組みを用いることで、ケアマネジメントの体制や支援内容、利用者アウトカムなど様々な側面で構成されるケアマネジメントを俯瞰的に評価できる。 令和2年度は、まず始めにケアマネジメントに関する文献をレビューした。さらにケアマネジメントのアウトカム評価のために、大規模データの分析手法に関してヘルスサービスリサーチを専門とする研究者らと議論を重ねた。具体的には、介護給付費等実態調査データや医療・介護レセプト等のデータ特性を活かした分析手法を探索した。さらに、介護報酬加算の要件を満たすケアマネジメントは一般のケアマネジメントと比較して要介護度の悪化リスクを有意に低減させるのかを検証するために、予備解析を実施した。 令和2年度はCOVID-19の感染拡大により、データ分析等を計画通りに遂行することができなかった。一方で、データ抽出に必要なSQLコードの確認や統計解析に必要なStataコマンドやPythonコマンドを深く学ぶことができ、次年度のデータ分析に向けて準備が進んだ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID-19の感染拡大により研究活動が制限されたため。
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Strategy for Future Research Activity |
令和3年度は、引き続き介護給付費等実態調査データや医療介護レセプト等の大規模データを用いて、ケアマネジメントのアウトカム評価を実施する。具体的には、介護報酬加算の要件を満たすケアマネジメントは、一般のケアマネジメントと比較して、要介護度の悪化リスクを有意に低減させるのかを検証する。ヘルスサービスリサーチを専門とする研究者等から助言を得ながら、ケアマネジメントに対する介護報酬加算の有用性を検証する。 さらに、ケアマネジメントのプロセス評価を実施する。主任介護支援専門員を有する等の特定要件を満たした居宅介護支援事業所のケアプランと、一般の居宅介護支援事業所のケアプランを対象に、ケアプランに位置づけられた介護サービスの種類や頻度、介護サービスの組合せ等を比較する。適宜、機械学習等を専門とする研究者から助言を得ながら、要介護度の悪化リスクを低減する介護サービスの組合せ等を探索する。さらに研究成果を国際学術誌に投稿し、研究成果を国際的に発信する。
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Causes of Carryover |
当該助成金が生じた状況: COVID-19の感染拡大により研究活動が制限されたため。 翌年度分として請求した助成金と合わせた使用計画: 令和3年度は、まず始めに令和2年度に計画していたケアマネジメントのアウトカム評価を実施する。さらにデータ分析の結果を早急にまとめて、原著論文を執筆する。令和2年度に国内旅費や外国旅費として支出する予定であった研究費は、その原著論文の英文校正費や国際学術誌掲載料等として支出する。なお従来から令和3年度に計画しているケアマネジメントのプロセス評価に関しては、ケアマネジメントのアウトカム評価が完遂した後にプロセス評価を実施する。
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