2023 Fiscal Year Annual Research Report
メンタルヘルス支援を目的とした多様性と共生社会について学ぶ教育プログラムの開発
Project/Area Number |
20K19281
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Research Institution | Okayama Prefectural University |
Principal Investigator |
井上 幸子 岡山県立大学, 保健福祉学部, 准教授 (90747528)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マイノリティ / 移民 / 困り感 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は2つのテーマに関して分析、考察した。ひとつは論文発表を行い、もうひとつは投稿中である。 性的少数者の成人の方を対象とした研究では、対象者が小中学生の時の困り感について回想的に回答してもらった調査のデータを質的に分析し論文発表した。合計248人の参加者が参加基準を満たしアンケートに回答した。内容分析を行い、参加者の経験を特徴づける3つの主要テーマが特定された: 自分のアイデンティティを守ること、本当の自分を表現できないこと、差別や虐待を感じることである。この結果は、いじめや被害から、ジェンダー規範に関する一般的な思い込みのために会話から不注意に排除されてしまうことまで、SGMの生徒にとって学校での経験が心理的に困難な性質を持っていることを示していた。 別の研究では、日本の学校において移民の子どもたちが経験する困難を、特に彼らの社会的、感情的、対人的、心理的なwell-beingに焦点を当てて理解することで、そのギャップを埋めることを目的とした。日本への移民が多い国として、韓国、フィリピン、ベトナムから日本に移住した15人の親を対象に質的調査を行った。6歳から18歳の子どもを持ち、日本の学校(小学校または中学校)に通う保護者が対象であり本研究に参加した。参加者から母国語を主とした希望する言語で詳細な文書データを収集し、使用した言語の専門家による数回の翻訳を経て主題分析を行なった。参加者の洞察をもとに得られたデータを分析し、コミュニケーション、自己表現、学校での学習ペース維持における言葉の壁、友情、満足のいく対人関係の確立、社会的つながり、文化的統合、いじめ、差別、心理的/感情的幸福、教師のケア、サポート、親の希望、比較といった相互に関連するテーマが特定された。 これらの結果からどのような支援が可能かについて今後の研究として継続する。
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