2020 Fiscal Year Research-status Report
アルツハイマー病患者における意味記憶障害の神経ネットワークに関する研究
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20K19283
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
大内田 博文 国際医療福祉大学, 福岡保健医療学部, 講師 (50806338)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アルツハイマー型認知症 / 語想起 / カテゴリ特異性 / 意味ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
アルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease:AD)においては、適切な語が喚起されない語の想起障害が認められるが、その病態は明らかではない。語の想起能力は「動物」で思いつく語を想起する語の流暢性課題で測定する。語の流暢性課題には意味記憶が関与すると考えられている。ADは中等度以降で意味記憶障害が出現すると報告されているが、それが語の流暢性課題にどのような影響を及ぼすかは明らかではない。 語の意味記憶の貯蔵は、側頭葉を中心とした灰白質であるとされる。また、ある一つの語は様々な意味素性が結合し意味を形成すると考えられている。つまり、語の意味記憶形成には神経のネットワークが重要である。側頭-頭頂領域の萎縮を来たす AD は病態の進行とともに語の意味に関する素性やネットワークが障害される可能性がある。本研究の目的は、AD の意味記憶障害に関する神経ネットワーク を可視化し重症度を定量的に評価することである。 この目的を達成するために、まず、ADにおける語流暢性課題の特徴と意味記憶障害との関連について検討を行なった。その結果、中等度ADは語流暢性課題においてスポーツ・果物・乗物より、洋服・文房具・料理といったカテゴリーの想起語数が有意に少なく、カテゴリー特異性を認めた。語の想起や単語の理解の障害が意味カテゴリーによって異なることは、意味記憶障害を示すものとされる(Warringtonら 1984)。また、AD群は意味的に関連する語を連続して想起することが少ないことから、意味ネットワークの賦活が弱い可能性があると考えた。研究の結果より、ADの語想起障害の基底に意味記憶障害があることが考えられた。 現在、上記研究結果を論文にまとめ学術誌に投稿し掲載待ちである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ADの語想起障害と意味記憶との関連についての研究結果を論文投稿することができた。 語の意味記憶の神経ネットワークを可視化するため、MRIデータの解析ソフト(MATLAB)や医用モニターなどの設備設置を整えた。
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Strategy for Future Research Activity |
AD の語想起障害に意味ネットワークの賦活低下を認める可能性があるが、それを可視化した研究は見当たらない。近年、神経ネットワークを可視化する方法としてMRIを用いた脳機能解析がある。これはMRI において安静時のBOLD 信号の揺らぎ成分を抽出し、各脳領域間の時間的相関関係を算出する手法(Resting state fMRI:RsfMRI)である。解剖学的に離れた領域間の相関は脳内の機能的なネットワーク性(functional connectivity:FC)を表すと考えられている。また拡散テンソル画像(Diffusion Tensor Imaging:DTI)を用いた脳白質線維の構造的なネットワーク性 (structural connectivity:SC)の解析を併用することで、脳内ネットワークを機能的および構造的視点から把握することができる。この方法により、側頭-頭頂領域の灰白質および白質線維の体積と意味記憶障害の程度を比較検討することが可能となる。研究協力施設と連携をとり、対象者のMRIデータの収集とその解析について研究を行なっていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症により参加予定であった学術集会が中止となったことで次年度使用額30,376円が生じた。 当該助成金は追加購入する物品や学会への参加、人件費や謝金にあてる。
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