2020 Fiscal Year Research-status Report
災害時要配慮者を中核とするインクルーシブデザインによる地域減災モデルの構築
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20K19296
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Research Institution | The Japanese Red Cross Toyota College of Nursing |
Principal Investigator |
藤井 愛海 日本赤十字豊田看護大学, 看護学部, 講師 (20845713)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 避難行動要支援者 / 災害時要配慮者 / 減災 / 災害 / インクルーシブデザイン |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は災害時に配慮を要する当事者の災害時の課題と必要な備えについて明らかにすることを目標として研究を進めた。対象者を避難行動要支援者名簿に登録されている者(要介護認定者・身体障がい者手帳給付者)とし、自身の身体状況と日常生活、必要な支援について振り返った上で、災害時の生活をイメージした際に日常生活とのギャップや必要となる支援、今から備えておくべきことについて、研究者が本年度作成したツールを元に検討を行った。 その結果、日常より移動に介助が必要な者は、災害時においても家族や社会福祉サービスの支援がなければ移動が困難であるため、それらの日常支援が受けられない場合が課題であると認識し、特に独居で近隣住民との付き合いが希薄な者が挙げられた。一方で移動が可能であった場合でも自身の特性上、避難所で生活を送ることが困難であると認識する者もあった。そのような場合に、これまでの生活や支援を維持するための方策の検討が今後必要となることが明らかとなった。また、地区によって、共助力やソーシャルキャピタルにも差があることが明らかとなり、これらの内容について、市の担当課と共に情報の共有を行い、避難行動要支援者の災害時における課題や今後必要となる支援について検討した。 一方で、支援を行う側である福祉事業所が災害時に向けて取り組んでいる対策や抱えている課題について検討を行った結果、対策や準備については未だ十分な検討がなされていないことが明らかとなった。災害時に福祉事業所が業務を継続でき、利用者(要配慮者)へのサービスが中断されないよう今後具体的な対策を進めていく必要性が示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初計画していたワークショップや講演会は新型コロナウイルス感染症の影響により実施することができなかったが、計画を修正し個別・少人数アプローチとしたことで本年度の目標は概ね達成できた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が予測されることから、今年度同様、対象者や関係組織へのアプローチを検討していく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染症の世界的影響により参加を予定していた国内外の学会が開催中止となり旅費や参加費が必要なくなったこと、加えて研究の中で計画していた講演会の開催ができなくなり、人件費や謝金が必要なくなったことから、それらの費用を次年度以降に繰越す予定である。
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