2023 Fiscal Year Research-status Report
高齢者の転倒予防自己効力感と身体能力の自己認識からみるリハ介入の工夫
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20K19299
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Research Institution | Morinomiya University of Medical Sciences |
Principal Investigator |
林 真太郎 森ノ宮医療大学, 総合リハビリテーション学部, 助教 (00846397)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 自己認識 / 転倒予防自己効力感 / フィードバック |
Outline of Annual Research Achievements |
転倒予防は高齢者リハビリテーションにおいてより喫緊の課題である。しかし高齢者の転倒の原因は、身体機能障害や能力低下等の内的要因、環境要因を含む外的要因など多岐に渡り、さらに本人の行動要因、転倒に対する恐怖心や自信度も、影響因子であることが明らかになっている。そのため転倒予防介入に関して近年では、教育指導・リスク評価などの併用や、転ばない自信度を示す転倒予防自己効力感の高低、身体能力の自己認識の誤差・乖離による転倒リスクに対する介入の効果が注目されてきている。したがって、高齢者自身が転倒に関わる要因を適切に認識して対応できることが転倒予防には重要であり、それらを支援する工夫・仕組みの開発が課題になると考える。先行研究でもこれらの転倒リスクについて言及されているが、相互の転倒への影響度や関連性、また介入効果までは、異なる見解も示唆され十分に明らかになっていない。 本研究では、まず転倒要因として、転倒予防自己効力感と、自身の身体能力の自己認識(過小・過大評価)との関連を明らかにすることを目的とし、2022~2023年度では機能障害を呈するデイケア利用の地域在住高齢者を対象とし、研究協力施設の病院の協力のもとで横断的調査を行った。その結果、転倒予防自己効力感の低さと身体能力の自己認識の乖離の大きさが、転倒歴と高い関連性があることが明らかになった。また身体能力に関する自己認識と実際の能力との乖離は、転倒の発生に対してより説明力の高い因子であることが示唆された。さらに本研究の参加者のように、すでに何らかの障害を持ち、支援を受けながら日常生活を送っている高齢者は、身体能力を過大評価する傾向が認められた。これらについて研究発表を行ったが、今後は高齢者の転倒予防におけるより効果的なリハビリテーションの確立を目指して発展させていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
これまで、デイケア・デイサービスセンターでの地域在住高齢者を対象とした対面による横断調査の実施が、新型コロナウイルスの影響もあいまって難航していたが、2022~2023年度は横断調査の実施、研究発表・英論文執筆にまで至った。現在は、介入研究として地域在住高齢者のデータ測定等を継続実施していくため、予備実験や打ち合わせを継続して実施している。
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Strategy for Future Research Activity |
横断調査により、身体能力に関する自己認識と実際の能力との乖離が、転倒の発生に対してより説明力の高い因子であることが示唆された。さらに本研究の参加者のように、すでに何らかの障害を持ち、支援を受けながら日常生活を送っている高齢者は、身体能力を過大評価する傾向が認められた。今後、介入調査を検討するうえで重要な点として、近年の転倒予防介入の一つとして挙げられている教育指導やリスク評価などは、単独ではなく運動療法との併用により有用性が高くなることがいわれている。そのため、すでにデイケア内で取り組まれている運動療法と併用した介入プログラムが実施できるよう、動画撮影を通じた対象者自身の動作の客観視や転倒リスクの教育指導を交えたフィードバック介入を実施し、自己認識の乖離度の変化および転倒リスクの変化などの影響に関する調査を検討している。
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Causes of Carryover |
予定していた地域在住高齢者を対象とした横断調査の準備・実施にあたり、新型コロナの影響も相まって遅れが生じ、研究計画と方法の見直し・修正を行ってきた。また当初使用予定だった物品の見直し・再選定も行った。そのため、謝金や物品購入費において次年度使用額が生じた。今後、研究調査を進めていくにあたり、見直した計画に沿った調査・測定に必要な機器・物品等の購入、謝金、人件費等において使用予定である。
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