2022 Fiscal Year Research-status Report
Elucidation of the neural basis of human gravity perception
Project/Area Number |
20K19305
|
Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
谷 恵介 追手門学院大学, 心理学部, 特任助教 (20824741)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 重力知覚 / 身体軸知覚 / 経頭蓋磁気刺激 / 脳 / 多感覚統合 / 視覚 / 身体傾斜 / ヒト |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度に実施した脳形態解析において、身体軸方向の推定能力と右中後頭回(right middle occipital gyrus:rMOG)の灰白質量が有意に相関することが明らかとなった(Tani & Tanaka 2021)。本年度は、連発経頭蓋磁気刺激(repetitive Transcranial magnetic stimulation:rTMS)を用いた行動実験において、それらの因果関係を明らかにすることを試みた。 若年健常成人20名を対象に、rMOGまたは右側頭後頭接合部(right temporoparietal junction: rTPJ)にrTMSを付加する前後に、身体直立または側方傾斜位において身体軸方向推定課題を行わせた。その結果、rMOGへのrTMS後には、脳は刺激されない偽刺激条件に比べて、身体傾斜で生じる主観的身体軸のズレが有意に小さくなることが認められた。一方で、rTPJ条件と偽刺激条件間には、有意な違いは観察されなかった。この結果より、rMOGが身体軸知覚に因果的に寄与していることが示唆された。しかし、本実験では参加者の前庭機能を客観的に評価出来ておらず、今後評価する必要がある。 上記の研究に加え、重力空間知覚における視覚依存性と小脳の因果関連性を検証する実験も実施した。健常成人20名を対象に、小脳虫部(Vermis)または1次視覚野(V1)に対してrTMSを実施する前後で重力方向を推定する課題(Subjective visual vertical: SVV)を実施し、rTMSの効果を観察した。その結果、Vermis条件では、偽刺激条件に比べて重力方向推定における視覚依存性が有意に小さくなる一方で、V1条件では有意な違いは観察されなかった。このことから、小脳虫部が重力空間知覚における視覚前庭相互作用に関与していることが示唆された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
COVID19の影響により、入院している脳卒中患者を対象とした実験の実施が未だできていない。また、対象者の前庭機能の評価が必要であるが、既存の実験環境では難しく、新たに構築する必要性がある。
|
Strategy for Future Research Activity |
前庭機能の客観的評価を行うための実験環境を新たに構築し、その評価を行う予定である。脳卒中患者を対象とした実験に関しても、実験環境(実施可能な医療施設)を模索する予定である。
|
Causes of Carryover |
COVID19の影響を受けて、患者を対象とした研究を実施できておらず、それに応じて次年度使用額が生じている。患者研究または新たに必要となった前庭機能の客観的評価を行うための環境構築に残金を使用する予定である。
|
Research Products
(8 results)