2022 Fiscal Year Annual Research Report
脳卒中後の機能回復に寄与するマイクロRNAの大規模探索と革新的予後予測への応用
Project/Area Number |
20K19309
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Research Institution | Hiroshima Cosmopolitan University |
Principal Investigator |
猪村 剛史 広島都市学園大学, 健康科学部, 講師(移行) (80760016)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | マイクロRNA / エピジェネティクス / 脳卒中 / 機能回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、運動機能や感覚機能等の障害を呈した脳梗塞患者の機能回復に関連するエピジェネティクス制御の一端を明らかにするため、末梢血中に存在するエクソソーム由来microRNAの発現に着目して検討を行った。 最終年度は、引き続き研究協力施設での患者リクルートを行い、対象者の末梢血からのmicroRNA抽出後に次世代シーケンサーを用いたmicroRNAの網羅的発現解析を行った。small RNAシーケンス解析用のライブラリ作成前に、bioAnalyzerにてmicroRNAの濃度を確認したが、数例はmicroRNA濃度が検出限界以下であったため、その後の解析から除外となった。機能回復に関連するmicroRNAを探索するため、研究対象者を脳梗塞発症3ヶ月後のmRSにより機能予後良好群 (mRS score of 0 or 1)と機能予後不良群 (mRS score of 2 to 5)に分類し、両群間のdifferentially expressed miRNA (DEM)を解析した。 年齢、DWI-ASPECTS、リハビリテーション開始時のNIHSS等の研究対象者の基本属性には両群間で有意差を認めなかった。miRNAシーケンス解析では、データベースに登録された合計 1,879個のmiRNAのうち、997個の miRNAの発現が確認された。DEMを解析した結果、機能予後良好群において有意に発現が低下したmiRNAが35個、有意に発現が上昇したmiRNAが15個同定された。先行研究の知見を基に、同定されたDEMsの生物学的意義を検討した結果、虚血後の細胞死や軸索伸長等に寄与するmiRNAも含まれていた。 本研究は探索研究として実施したため、今後詳細な解析による検証が求められるが、miRNAによるエピジェネティクス制御が脳梗塞後の機能回復に寄与する可能性が示された。
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