2020 Fiscal Year Research-status Report
オステオサルコペニアを有する高齢心不全の臨床的特徴と予後に関する検討
Project/Area Number |
20K19313
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
長岡 凌平 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (60860286)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 慢性心不全 / 高齢者 / オステオサルコペニア / サルコペニア / 骨粗鬆症 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,高齢心不全患者を対象に,(1) オステオサルコペニアの発症や進行の関連因子を横断研究による網羅的解析によって探索すること,(2) オステオサルコペニアと予後との関係に影響する因子を,前向きコホート研究によって特定することを目的として行われている. 2020年度には,本研究の実施に必要な患者情報を登録するデータベースを作成し,試験運用を行った. また,高齢心不全患者におけるサルコペニアと骨粗鬆症の関連およびオステオサルコペニアの有病率を検証するため,後ろ向きコホート研究を実施した.対象は当院へ入院中に筋量・骨密度計測,身体機能評価を実施した心不全患者 269 例とした.サルコペニアの診断は AWGS 2019 の基準に準じ,骨粗鬆症の診断はWHOが提唱する基準値に準じて行った.また,サルコペニアと骨粗鬆症の基準を同時に満たした場合にオステオサルコペニアと診断した.筋量および骨密度の計測には二重エネルギー X 線吸収法 (Dual Energy X-ray absorptiometry: DEXA 法) を用い,骨粗鬆症の診断のため大腿骨および第 2 - 4 腰椎レベルの %YAM を算出した.その結果,全対象の 130 例 (48%) がサルコペニア,99 例 (37%) が骨粗鬆症であり,60 例 (22%) が両者を併存していた.年齢,性別で調整した共分散分析の結果,サルコペニア合併例では非合併例と比べて,%YAM が有意に低値だった (p < 0.05).年齢,性別を含む既知の共変量で調整した多変量ロジスティック回帰分析の結果,サルコペニアは骨粗鬆症の独立した予測因子であった (調整済みオッズ比 3.64 [95% CI 1.36 - 9.71],p = 0.01).
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ベータベースへの患者情報の登録は進んでいるが,COVID-19 により入院が制限されたことに伴い,登録患者数が予定していたよりも少なくなってしまったため.
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Strategy for Future Research Activity |
継続して患者情報の登録を実施していく.また,今後はオステオサルコペニアの関連因子を明らかにするための解析を進めていく.
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Causes of Carryover |
COVID-19 の感染拡大により,参加予定であった国際学会および国内学会が Web 開催となったため.また,COVID-19 による入院制限にて登録患者が予定よりも少なくなったことに伴い,機器の購入を見合わせたため.2021年度は,データベースの管理および解析を行うためのパーソナルコンピュータや統計解析ソフトの購入を進める.また,研究成果を国内・国外の学会で発表するための旅費や論文投稿費用に充てる.
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