2022 Fiscal Year Research-status Report
遠位橈尺関節不安定症の定量的評価手法の開発とリハビリテーションへの臨床応用
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20K19314
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Research Institution | Ibaraki Prefectural University of Health Science |
Principal Investigator |
唯根 弘 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助教 (20845911)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 遠位橈尺関節不安定性 / 三角線維軟骨複合体損傷 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
当該年度(2022年度)では健常者を対象にminimal detectable change: MDCによる測定誤差の参照値を算出した結果をもとに、遠位橈尺関節不安定症症例において治療前後およびリハビリテーション実施経過に伴う不安定性の改善の経過を定量評価可能であったことを報告した。超音波検査を用いるため簡便で計測に伴う負担が少なく計測が可能であり、本研究により考案された定量評価手法が経時的な変化や治療効果の測定に有用である可能性が示唆された。 車いすバスケットボール選手において本手法による遠位橈尺関節不安定性と上肢機能を調査し、三角線維軟骨複合体損傷の有無との関連を報告した。日常車いす使用者においても同様に調査を進めており、パラスポーツ経験者と未経験者ではこれらの機能に差がない傾向があったことを報告した。経時的な変化を追うことにより、車いす使用者における手関節の保護や三角線維軟骨複合体損傷の早期発見に繋げていきたいと考える。 そして、三角線維軟骨複合体の靱帯特性を評価するため、より詳細な評価手法の検討を行った。本手法では橈骨と尺骨の変位量に加えて、手関節にかかる圧データを計測することで弾性を算出している。さらに圧迫の速度を変化させることでこれらの2つのデータを詳細に記録し、粘弾性評価が可能となるか予備的な検証を行った。これにより、これまで計測していた弾性だけでなく粘性や慣性の要素が影響している可能性が示唆された。粘弾性評価手法の確立により、これまで一定した見解が得られていない臨床症状の有無と遠位橈尺関節不安定性との関連を明らかにできる可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該年度(2022年度)においては昨年度に引き続きこれまでの集積データ解析結果の報告を中心に行い、学会発表および学術誌への掲載による成果報告を行った。また、発展的研究として車いす使用者における遠位橈尺関節不安定性と手関節機能の調査を定期的に実施しており、その傾向に関して新たな知見を得ることができている。引き続き、得られたデータの検証による成果を報告する予定である。これらのことから、本研究課題の進捗状況についてはおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度(2023年度)は期間延長後の最終年度となる予定であるため、既に集積したデータや追加で集積したデータの分析結果について、引き続き学会発表および学術誌への掲載による成果報告を順次進めていく予定である。また、経時的な変化を追う調査研究を継続することにより、障害の予防のための知見を得るよう推進していく予定である。
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Causes of Carryover |
2022年度には計画よりも成果発表のための論文執筆等に遅れが生じたため次年度使用額が生じた。期間延長により2023年度には予定していたこれらの成果発表のために必要な論文のオープンアクセス費用などに使用する予定である。
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