2023 Fiscal Year Annual Research Report
成人吃音者におけるリハビリテーション効果とその改善要因に関する研究
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20K19319
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
秦 若菜 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50448958)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 吃音 / リハビリテーション効果 / 発話運動 / 吃頻度 |
Outline of Annual Research Achievements |
吃音とは、音や語の繰り返し、ブロックと呼ばれる発話の中断などを主症状とする発話の障害の一つである。流暢なスピーチを達成する呼吸・発声・構音の協調性の破綻に起因する、ことばの流暢性の障害と定義されている。2022年までに,成人吃音者の発話は,ポーズ数が多く短く途切れ途切れの状態であることを明らかにした(Hata,2022)。 2023年度は,流暢形成法に主眼をおいた言語聴覚療法を3回以上施行し,治療が終了した症例に対して,発話行動の変化を検討した。 【方法】参加者は吃音者16名(男性14名、女性2名)、平均年齢26.9歳(16~45歳)であった。治療前と3回の治療実施後,治療終了時の文章の音読を比較した。音声信号は、音響分析ソフトウェアPraatを使用して分析した。文章(北風と太陽;8文,55文節,226モーラ)の読み始めから終わりまでを所要時間とした。さらに、1)調音部分(articulation) 2)ポーズ(pause) 3)吃症状部分(stuttering)の3つに区分し、それぞれの継続時間を測定した。各区分の境界は音声波形と広帯域スペクトログラムを表示して、視覚的、聴覚的に確認した。さらに、前述の3つに分類された測定結果を用いて、調音速度、ポーズ数、ポーズの平均持続時間、吃頻度を算出した。 【結果・考察】吃頻度は18.0(±17.5)%から3.3(±3.8)%へと,3回の治療実施後には有意に低下しており,治療効果を認めた。調音速度は変化しなかったが,文間ポーズ平均持続時間は1.08(±0.54)秒から2.27(±2.50)秒へと治療終了時に有意に延長した。発声運動に対するコントロール力が向上したと考えられた。
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