2020 Fiscal Year Research-status Report
膝前十字靭帯再建術後の反対側における衝撃吸収パターンの解明
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20K19323
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
菊元 孝則 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 講師 (10780653)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 膝前十字靭帯損傷 / 関節モーメント / 片脚着地 / 反対側 / 着地パターン |
Outline of Annual Research Achievements |
女子成長期における膝前十字靭帯(ACL)損傷は,ACL再建術後における「反対側」の損傷率が高い問題を抱えている.その要因として,膝関節伸展筋力値に着目した競技への復帰基準が一般的であり,1) 好発動作である片脚着地時の運動学的な個人差,2) ACL再建術後における「反対側」に着目した危険因子に関するデータの蓄積が不十分であることが,再損傷率が高値となる要因として考えられる.本研究では,「片脚着地時における各下肢関節の衝撃吸収パターンは,損傷の危険因子である垂直床反力成分のピーク値を規定する因子となる」という仮説検証を目的とする.その過程で,① 片脚着地時における,衝撃吸収のパターン分類とその変調,② ACL再建術後の「反対側」における衝撃吸収パターンの解明と,その変調を検証した. 課題動作となる片脚着地時の試技を赤外線カメラにて撮影し,3次元動作解析を行い下肢の関節角度,下肢筋の筋活動量を算出し,3次元動作解析装置(サンプリング周波数250Hz)とフォースプレート(サンプリング周波数1000Hz)を使用し,片脚着地時のVGRFピーク値発生時における矢状面上と前額面上の各下肢関節モーメントを算出した.各モーメント値が,着地時の衝撃吸収にどの程度寄与しているか重回帰分析による寄与率を導き出し,9つのパターンに分類を行っている.今後はACL再建術を施行した選手の競技復帰後における,「再建術側」と「反対側」の衝撃吸収パターンの違いを検討したいと考えている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型感染症の影響により被検者のリクルートが困難な時期があり,計測に予想以上の時間を要していることが主要因である.今後は,より計画的な計測を実施すると共に,解析の人員を増やし,研究計画通りに進むように改善したいと考えている.
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Strategy for Future Research Activity |
ACL再建術を施行した選手の競技復帰後における,「再建術側」と「反対側」の衝撃吸収パターンの違いを明らかにする.初回のACL再建術後1年以上が経過し,既に日本バスケットボール協会主催の公式戦に復帰している女子バスケットボール選手40名を対象に,令和2年度と同様の測定方法にて,矢状面上と前額面上の各下肢関節モーメントを算出する.また,損傷リスクの少ないと考えられる「再建術側」からの測定を行い,測定時のリスクを最小限にする等,選手の安全面にも考慮し実施をする.
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Causes of Carryover |
プレ実験時に発生した,計測前運動の不足により生じる変調を防ぐため,研究計画時には考えていなかった備品購入を行ったことが主要因として考えられる.翌年度は,既に問題点が解決されていることから,研究計画通りに進められると考えている.
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