2021 Fiscal Year Research-status Report
時間的・空間的音響解析法を用いた日本語話者に適した発話評価課題の開発
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20K19324
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
田村 俊暁 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (20780373)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | dysarthria / 音響分析 / フォルマント遷移 / 発話明瞭度 / 連母音 / 二重母音 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021~2022年度の当初計画では,健常者を対象に関連する既存の指標との相違点の検証をすることとしていた. 2021年度は,2020年度に収集したデータをさらに解析して学会での報告および学術論文として発表に注力した.特に当初計画にもあった発話速度とフォルマント遷移の関連に重点を置いて解析と仮説の検証を行った.20~22歳までの13名の健常発話者を対象に,連母音「あい」を含む単語「太陽」「外套」が埋め込まれた長文「北風と太陽」を音読させた.音読は「普段話している速さで」「できるだけ速く」の二条件であった.この実験では,すべての参加者で普通よりも速い発話速度が生成された.概ねの結果としては,速い発話速度では,フォルマント遷移の所要時間が短縮し,周波数の遷移域が縮小した.しかし算出される第2フォルマントの遷移率は変化の度合いは少なかった.ただし,この傾向は標的にした単語間で若干の特性があり注意すべき事項があった.これらの結果は,発話の速度を設定せずとも比較的個人内の変化の比較が可能ではあるものの,標的にする単語の選択はさらに解析を進める必要があることを示唆している. また,患者を対象にした横断研究を実施したところ,第2フォルマントの遷移率は,疾患のタイプを特定せずとも,発話の明瞭度や舌の筋力と関連することがわかった.これは発話障害を有する患者の治療前後の定量的な指標として活用できる可能性がある. 投稿準備中の論文では,若年の健常者を対象に普通の速度で音読した速度と速く話したときの速度でどのようにフォルマント遷移が変化するかを解析していくつかの知見を報告する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020~2021の間に健常者を中心としたフォルマント遷移の解析の緒要件について明らかにする予定だったがコロナ禍の影響でデータ収集に遅れが生じた.しかし,過去のデータベースなどを活用して研究を進める方策をとった.また,2022~2023年度に実施予定であった患者を対象にした横断研究を前倒しで行うなどの工夫を行って患者に関する研究成果は学術雑誌で発表できた. 当初の計画の順番は前後してしまっているが,全体的には概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
高齢の健常者の知見が不足しているため2022年度でデータを収集する.また,若年健常者の現在解析中のデータを学術論文に投稿して掲載を目指す.
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Causes of Carryover |
参加予定だった国際学会が後ろ倒しになり,旅費を使用しなかった.開催年度に合わせて旅費を使用する.
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Research Products
(5 results)