2020 Fiscal Year Research-status Report
筋毎の効率的な刺激タイミング調整が可能な歩行再建用電気刺激装置の開発
Project/Area Number |
20K19325
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Research Institution | Teikyo University of Science & Technology |
Principal Investigator |
平賀 篤 帝京科学大学, 医療科学部, 講師 (80759902)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 電気刺激 / 歩行再建 / 刺激タイミング / 歩容 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、外部から筋に電気刺激を行い動作を改善させる機能的電気刺激(FES)機器に用いるための加速度、ジャイロ、圧、角度の複数センサを組み合わせた新たな刺激トリガーを作成し、各筋を効率的に電気刺激できる方法を明らかにするとともに、動作再建FES機器開発に応用することを目的としている。 2020年度は基礎的研究として、歩行動作中の筋活動と電気刺激条件の確認を行う計画としていた。これは筋毎の電気刺激タイミングと歩行動作との関連を明らかにすることで、「各筋における歩行動作時の電気刺激モデル」の構築が可能になると考えているためである。具体的計画内容として、①筋への電気刺激タイミングが異なることで、歩行動作がどのように変化をするか、②複数の筋への同時電気刺激は歩行動作を加速度的に向上させるのか、の2点を明らかにすることで、歩行動作時の適切な電気刺激タイミングの解明と、単独での刺激と複合刺激の可能性を検証することとした。 ①について、歩行動作では一般的に筋が収縮するタイミングが既に明らかになっているが、正常より前後した筋収縮タイミングが歩容にどのような影響をあたえるかを検証すべく大殿筋、中殿筋を対象として通常歩行時にて収縮する0.5秒前、同タイミング、0.5秒後での刺激を比較した。正常歩行時の筋収縮タイミングは事前に筋電図を用いて被験者毎に計測し、設定をした。その結果、0.5秒後の刺激においては重心移動が通常よりも大きくなり、加減速についても変化量が大きくなる傾向が認められた。このことからタイミングが遅い場合は歩行効率が低下する可能性が示唆された。FES機器の設定においても刺激タイミングが遅れるようなトリガーにならないよう配慮する必要性があると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2020年4月の研究開始時点ではCOVID-19感染が全国的に拡大し、その後複数回の緊急事態宣言が発出された。実験環境や被験者に対する感染対策の影響から実験データ収集の停止を余儀なくされていた。2020年後期より徐々に実験が再開できたが、主な実験環境施設内でのCOVID-19感染および濃厚接触事例の発生により度々実験が停止となることで全体的な研究進捗は遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度以降も十分な感染対策と並行して研究を実施する必要がある。また緊急事態宣言発出中の影響から、十分なデータ収集ができない可能性が考えられる。そのため当初の研究計画では様々な筋をターゲットにしていたが、筋の種類を絞ることを予定している。また歩行を中心に計画を立てていたが、実験環境の感染対策上歩行計測が可能な部屋を準備することが困難であることも予想されるため、歩行に限らず上肢動作なども対象として検討するよう変更する。さらにその際に動作再建だけでなく、運動学習的な要素も検証課題に取り入れるようにし、動作効率化の一指標にして動作に合わせた電気刺激がリハビリテーション分野に与える影響を検討することとする。 以上収集データの限局と検証データの一部変更にて修正を図る。
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Causes of Carryover |
COVID-19の影響により十分な実験遂行に至らなかったため、研究発表にかかる旅費、実験被験者への人件費などの使用が予定と異なった。2021年度以降では感染対策を講じた上で十分な研究遂行を目指し、予算執行を行う。
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