2020 Fiscal Year Research-status Report
心臓外科領域の周術期における吸気筋トレーニングの実施可能性を探る
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20K19326
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Research Institution | Chubu Gakuin University |
Principal Investigator |
西中川 剛 中部学院大学, 看護リハビリテーション学部, 講師 (70771385)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 吸気筋トレーニング / 呼吸筋トレーニング / 心臓血管外科 / 心臓リハビリテーション / 理学療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、心臓外科手術施行患者に対して吸気筋トレーニング(Inspiratory muscle training, IMT)を実施し、プログラム介入前後で術後呼吸器合併症発症率などのアウトカムを指標として有用性を検討する。さらに、IMTの安全に実施可能であるかを、IMT介入期間中の有害事象の発生率を調査するとともに、プログラムの実施状況(セッション数、完遂率、脱落の理由)についても検討することである。 まず、実施環境の整備として、IMTに必要な機器およびPCを購入し環境面の整備を完了した。また、理学療法士だけでなく周術期において関わる主治医や看護師などの医療スタッフにIMTについて周知し理解を得られたことで、実施体制の円滑な構築が図れた。 2020年度は、31例に対して調査を実施し、そのうち解析可能であった22例(男性16名、女性6名)を対象とした検討では、術後呼吸器合併症は45.5%(10例)認めた。また、身体機能について呼吸器合併症有り群(合併症群)は無い群(対照群)に比べて術前握力(24.8±9.0 vs 31.7±6.1)と%肺活量(78.2±9.9 vs 91.1±17.5)が有意に低下していた。合併症群は対照群に比べて術後PImaxの改善量(21.3±18.7 vs 8.8±13.6)が有意に低く、それに伴い退院時PImax(44.5±26.5 vs 26.5±20.3)も有意な低下がみられた。さらに、2020年度の調査・介入において重大な有害事象は認められなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2020年度は、予備調査として試験的にIMTプログラムの有用性および安全性、実施状況を検証することを計画し、目標症例数を30例としていた。その結果、目標症例数を超える31例に対して調査を実施した。また、セカンダリアウトカムについて当初の計画よりも早く評価体制が整い、最大吸気筋力(PImax)や6分間歩行距離、バランス機能、10m歩行速度、握力、ADLの評価が可能であった。また、術前認知機能検査および術後合併症の有無やICU滞在日数、人工呼吸器装着時間、入院期間なども調査可能となった。しかし、プログラムの実施状況は完遂率46%に留まっており、プログラム実施体制の見直しやIMT実施におけるマニュアル整備の必要性などを認めた。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は、IMT実施においてコントロール群としてIMTプラセボ群を設定する予定である。また、セカンダリアウトカムにおいて、評価体制が整っていないQOL評価や下肢筋力測定について急ぎ準備を進めていく。さらに、プログラム実施率の詳細について、完遂率だけでなくセッション数や脱落理由などについて調査体制を構築していく。
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Causes of Carryover |
コロナウイルス感染症の影響を受け情報収集のための学会参加が中止となったことが次年度使用額の生じた理由である。次年度は予定している研究経費に加えて国際学会への研究成果公表を追加予定しており、そのための経費を次年度使用額の使用計画としている。
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Research Products
(1 results)