2021 Fiscal Year Research-status Report
個々のASD児に合わせてコミュニケーション教育が可能なロボット開発
Project/Area Number |
20K19327
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
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Project Period (FY) |
2021-02-01 – 2023-03-31
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Keywords | ソーシャルロボット / ロボットセラピー / ヒューマンロボットインタラクション / 自閉症セラピー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は社会性に障害を持つ自閉スペクトラム症児(ASD児)を対象とし,ソーシャルロボットを用いたトレーニングシステムを構築し,それによるASD児のコミュニケーション能力の向上を明らかにすることを目的としている.具体的には,ヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,ユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組み,開発したロボットの効果に関する実証実験を計画している.その中で,2021年度はヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,ユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組みに集中をして,研究を進めた.社会性をアシストするロボット(Socially Assistive Robot, SAR)を用いて社会性に関するソーシャルスキル・トレーニング (SST) を行う際にASD児の動きや生体信号による状態推定を行った.特に動きに関してはロボットと子供の間の距離,生体信号に関してはEDAに着目し,解析した.さらに,Social Responsiveness ScaleによるASD児個々の社会性に対する能力を調査し,発達症状による違いも分析した.その結果,SARを用いSSTを実施した際に自然なコミュニケーションの状況で社会的距離を持つ動きを検出するのに効果的であることが明らかになった.この結果については「Social Distance in Interactions between Children with Autism and Robots」という題目でApplied Sciences 11(22) に掲載された.また,EDAを使用して発達障害に関連する症状を分析することにより,症状に基づき,感情識別のコミュニケーション側面にSARが適用できる可能性が示唆された.この結果はSensorsに投稿する予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究はヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,ユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組みの側面はおおむね順調い進展している.子供とロボットがインタラクションを行う際に子供の動きを分析した.その一つがロボットとの間で持つソーシャルディスタンスであり,インタラクションの際に持つ距離について分析した.さらに,子供ごとのソーシャルレスポンスレベルによって異なるソーシャルディスタンスも解析した.その結果(Social Distance in Interactions between Children with Autism and Robots)をApplied Sciences 11(22)に発表した.また,人とロボットのインタラクション中に人の皮膚コンダクタンスを解析し,ロボットを用いたセラピーの定量的評価を行った.さらに,インタラクションの際に使用するデバイスとロボットシステムのインテグレーションおよびセラピストが使用しやすいインタフェースの開発を行った.この結果はSensorsに投稿する予定である.それらによってヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合およびユーザー中心インタフェースを設計の応用研究まで進んでいる.
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Strategy for Future Research Activity |
本研究は目的の達成のため,3つの側面を挙げている.その側面とは,ヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,ユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組み,開発したロボットの効果に関する実証実験である.ヒューマンロボットインタラクションと感情コンピューティングとの融合,ユーザー中心インタフェースを設計する応用研究への取り組みの面は順調に進んでいる.その結果を応用したロボットシステムの開発と実証実験が残っている課題である.ロボットシステム開発については予定通り進めていく予定である.実証実験については子供以外にもう一人の第1ユーザーとして考慮しかければならないセラピストに参加してもらう予定だったが,もしコロナ感染等の問題で実証実験が難しくなる場合は,以下の通り変更をすることを考えている.発達障害児にセラピーを行う現場で実証実験を行わず,開発したロボットの詳細がわかる動画や映像を作成し,インターネットを通じて,印象や使いやすさ,期待される使用効果に関して調査を行う.また,その結果を基に少しづつシステムを修正し,その修正版について数回調査を行う.これらの研究の仕組みを検討している.
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Causes of Carryover |
生体信号の機器として新たにE4リストバンドやそれに関連する消耗品を購入する予定だったが,研究室で持っていた既存のもので行うことができたため,E4リストバンドを購入していない.また,国際学会発表や実証実験を予定していたが,コロナ状況で難しかったため,その費用が残ってしまった.生じた次年度使用額は2022年度の学会発表の費用やインターネットを通じた調査の人件費で使用する予定である.
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