2020 Fiscal Year Research-status Report
クール・レジスタンス・運動が筋組織内酸素代謝に及ぼす影響と臨床への応用
Project/Area Number |
20K19329
|
Research Institution | Aino University |
Principal Investigator |
後藤 昌弘 藍野大学, 医療保健学部, 教授 (10449853)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 寒冷刺激 / 筋力増強 / レジスタンス運動 / 中・高齢者 / 近赤外線分光法 / 筋細胞内低酸素 |
Outline of Annual Research Achievements |
実施内容:1年間以上のレジスタンス運動経験を有する健常若年者24名を局所寒冷実施群12名と非寒冷群12名の2群に分け、上腕三頭筋を主動作筋とするレジスタンス運動4種類を各4セット実施し、局所寒冷刺激がレジスタンス運動急性効果に与える影響を調査した。局所表在温度、深部温度、酸素化ヘモグロビンレベル、表面筋電図平均振幅、の4項目を急性期データとして記録した。SPSSを用いてデータを統計的に分析し、結果に対する考察を現在作成している。意義:局所寒冷刺激がレジスタン運動に与える影響については、主動作筋の筋腹に至適な寒冷刺激を与えると運動単位動員の逆転が生じて速筋が動員されやすくなったという報告、局所に寒冷刺激を用いることで等尺性収縮力が有意に増大したという報告がある。また、身体冷却が酸素化ヘモグロビン解離を抑制し、pH値を上昇させるというボーア効果が報告されている。これらの報告より局所寒冷刺激は運動単位動員順序を逆転させ、筋内低酸素を促進するため、筋力および筋横断面積の増大を促進すると考えられる。そこで、速筋線維含有率が高い上腕三頭筋を被験筋として局所寒冷刺激を用いたレジスタンス運動を実施し、その急性効果を確認した。重要性:まずはレジスタンス運動経験を有する健常若年者を対象に局所寒冷刺激を用いたレジスタンス運動を行い、その急性効果を確認した。続いて8週間長期効果について検証を行い、最後に中・高齢者を対象に同様のレジスタンス運動を実施し、局所寒冷刺激の急性効果と長期効果を確認する。これらの研究結果を中・高齢者の筋力低下や筋萎縮の問題解決に活用する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
健常若年者を対象に局所寒冷刺激を用いたレジスタンス運動を実施し、その急性効果を確認するまでを2020年度研究課題としていた。レジスタンス運動の実施、データ収集、検定、までのプロセスは年度内に終えることが可能であった。現在結果に対する考察を作成中であり、論文として未だ公表できていない。また、局所寒冷刺激を用いたレジスタンス運動の急性効果についてもおおむね仮説通りの結果を得ている。 以上の結果より、本研究課題に対する進捗状況を、おおむね順調に進展している、と自己評価した。
|
Strategy for Future Research Activity |
2021年度:レジスタンス運動経験を有する健常若年者を対象に局所寒冷刺激を用いたレジスタンス運動を8週間実施し、その長期効果(2021年度)を検証する。 2022年度:運動経験を有する中・高齢者を局所寒冷刺激群と非寒冷群の2群に分けて8週間のレジスタンス運動を行い、局所寒冷刺激の急性効果と長期効果を2群間で比較する。これらの研究により、中・高齢者の筋力低下や筋萎縮の問題解決に活用する。
|
Causes of Carryover |
年度内に英語論文を書き終えることができなかったため、英語校正費用の支払い、論文投稿費用が年度内に発生したかったことが176,682円の差額が生じた理由である。 2021年度9月までに論文を書き終え、上記差額を予定通りの目的に使用する。
|