2020 Fiscal Year Research-status Report
終末期がん患者に対するリハビリテーションの質向上のためのコンピテンシーの解明
Project/Area Number |
20K19336
|
Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
西山 菜々子 大阪府立大学, 総合リハビリテーション学研究科, 助教 (60824969)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | コンピテンシー / リハビリテーション専門職 / 終末期がん患者 / 緩和ケア病棟 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
近年、がんリハビリテーションは拡大傾向にあり、その科学的根拠が集積されつつある。しかし、その一方で、予後の限られた終末期がん患者を対象とした研究はほとんど無く、その有効性や推奨される具体的な介入内容は明らかにされていない。これは患者の不利益となるだけでなく、終末期がん患者に関わるリハビリテーション専門職のバーンアウトにつながってしまう可能性もある。 本研究は、混合研究法デザインを用いて計画したものであり、①質的研究として緩和ケア病棟入院患者に対するリハビリテーションに熟練したリハビリテーション専門職へのフォーカスグループインタビューを行い、②その結果を基に質問紙を設計し、③量的研究として大規模質問紙調査を施行し、④これらの結果を統合的に分析して、終末期がん患者に関わるリハビリテーション専門職のコンピテンシー(成果につながる行動・思考特性)および職種による強みの違いを同定することを目指している。本研究の目標達成のために初年度に実施した内容を以下に述べる。 初年度(2020年度)は、緩和ケア領域のリハビリテーション専門職のコンピテンシー、または看護師や心理士など他職種のコンピテンシーに関する国内・国外の類似先行研究の文献収集と分析を行い、研究デザイン・実施計画について実施可能性を考慮し検討した。より質の高い混合研究法デザインとして計画実施するため、日本混合研究法学会が主催する「MMR-Kyoto Research Design Colloquium」に参加し研究計画のブラッシュアップを図るなどを行った。並行して、国内の緩和ケア病棟に関わるリハビリテーション専門職との新たな関係構築に努め、インタビュー対象候補者を増やすことに努めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
初年度中に、①緩和ケア病棟入院患者に関わるリハビリテーション専門職(作業療法士または理学療法士)を集めたフォーカスグループインタビューを行う計画であったが、新型コロナウィルス感染症の感染拡大に伴い移動制限ならびに集合型会議の開催制限が生じたこと、またこれら制限がいつまで継続するか予測が困難であったことから、研究計画の再検討を要した。このため、初年度の到達目標であったフォーカスグループインタビュー完了に至ることができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは、初年度に実施を計画していた対面集合形式の緩和ケア病棟入院患者に関わるリハビリテーション専門職のフォーカスグループインタビューを完了する。新型コロナウィルス感染症ワクチンの接種状況と感染拡大状況を考慮して、対面集合形式のまま実施するか、テレビ会議形式で代替するかを決定することとし、どちらとなった場合にもフォーカスグループインタビューは完了できるよう計画準備を進める。テレビ会議形式で実施することになった場合にも、対面集合形式と同等にインタビュー効果を見込めるように、テレビ会議におけるコミュニケーションスキルやエンパワメントの方法を習得し、準備を行う。 インタビュー後に計画する②質問紙の設計、③質問紙調査<量的研究>④結果の統合・分析として、終末期がん患者に関わるリハビリテーション専門職のコンピテンシーおよび職種による強みの違いの同定、を効率的に実施できるよう、質問紙調査の準備作業なども先行して進める。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により、フォーカスグループインタビューが実施できていないため、インタビュー対象者を招集するための旅費・謝金、インタビュー協力者(心理学専門家)の謝金などの予算を執行できなかった。翌年度には、初年度計画で実施予定であったフォーカスグループインタビューを実施できるよう調整し、計画を進めている。
|
Research Products
(1 results)