2020 Fiscal Year Research-status Report
Research on neurocognitive impairment and social function in patients with diencephalon and intraventricular tumor
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20K19342
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田畑 阿美 京都大学, 医学研究科, 助教 (00844391)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 脳腫瘍 / 神経心理学的合併症 / 社会生活機能 / 間脳腫瘍 / 脳室内腫瘍 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の長期的な目的は、間脳・脳室内腫瘍治療後の患者の高次脳機能、身体・精神機能および社会生活機能について調査し、神経心理学的合併症および社会生活機能の特徴を明らかにすることである。さらには、間脳・脳室内腫瘍治療後の患者の社会生活機能に影響する要因を明らかにすることである。本研究の短期的な目的は、本研究の期間中から、個々の患者・家族に対して、評価結果に基づくフィードバックを行い、個別症例に対する社会適応支援、しいては就労支援につなげることである。 2020年度には、間脳・脳室内腫瘍治療後の患者の高次脳機能、身体・精神機能および社会生活機能に関する調査を行い、個々の患者・家族に対する評価結果に基づくフィードバック、ケースシリーズ報告を通して、個別症例に対する社会適応支援、就労支援および支援体制の構築を図る計画のもと、高次脳機能、精神機能および社会生活機能の評価に用いる評価用紙、データ解析・保管用の機器など研究に必要な資材の購入を行うとともに、事務補佐員の選定・雇用を行い、研究を滞りなく開始した。 COVID-19感染拡大防止のためデータ収集の開始時期が遅延したが、2020年6月からはデータ収集を再開し、8月からは事務補佐員の雇用を開始しデータベースの作成を行った。 具体的には、京都大学医学部附属病院脳神経外科・精神科神経科・小児科通院中の間脳・脳室内腫瘍治療後の患者に対して、高次脳機能、身体・精神機能および社会生活機能に関する調査を行い、評価終了後に個々の患者の評価結果に基づく検査結果の報告書を作成し、患者本人および主治医に対してフィードバックを行った。さらに必要に応じて、患者家族へのフィードバックや、医療従事者や就労支援担当者を含めたカンファレンスを行い、社会適応支援、就労支援を行った。 また、第44回日本高次脳機能障害学会に参加し、資料・情報の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題においては、4年間の補助事業期間に70例の症例登録を目標とし、1年間に15~20例程度の検査を行う予定である。 本研究の進捗状況として、具体的には、新規症例のリクルートに関しては、2020年度内に28名の同意が得られ、現在までに41名の同意を得た。 次にデータ収集に関しては、本研究課題では合計4回の調査と1回のフィードバックを合わせた合計5回から構成されるが、2020年度内に全4回の調査とフィードバックが終了した症例は17例であり、目標数の15~20例と概ね等しい症例数であった。 そのため、本研究課題の2020年度の進捗状況は、新規症例のリクルートおよびデータ収集ともにおおむね順調に進展していると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在、COVID-19感染症拡大防止のため、京都大学医学部附属病院における外来患者数の制限(電話診療の促進)や新型コロナウイルス感染症まん延防止等重点措置による外出制限などが行われている。そのため、新規症例のリクルートやデータ収集に関しても、これらの制限の影響を受ける可能性があるが、感染症予防対策を十分に行った上で新規症例のリクルートおよびデータ収集を継続する。 2021年度には、間脳・脳室内腫瘍治療後の患者の高次脳機能、身体・精神機能および社会生活機能に関する調査を継続し、個々の患者・家族に対する評価結果に基づくフィードバックを行うとともに、ケースシリーズ報告を通して、個別症例に対する社会適応支援、就労支援および支援体制の構築を図る。さらに、症例集積の状況に応じて、複数症例での検討を行い、間脳・脳室内腫瘍治療後の患者の高次脳機能、身体・精神機能および社会生活機能に関する特徴を明らかにし、学会・患者会での成果発表、支援方法の検討を行う。 さらに2021年度には、資料・情報収集および研究成果発表のため、日本作業療法学会(Web)、日本高次脳機能障害学会(福島)、日本間脳下垂体腫瘍学会(東京)などに参加する。
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Causes of Carryover |
当該年度は、高次脳機能、精神機能および社会生活機能の評価に用いる評価用紙、データ解析・保管用の機器など研究に必要な資材の購入を行うとともに、研究協力者謝礼としてのQUOカードの購入、事務補佐員の雇用を行った。しかしながら、実支出額の累計額は当該年度の所要額をわずかに下回り、次年度使用額が生じた。 次年度には、高次脳機能、精神機能および社会生活機能の評価に用いる評価道具・評価用紙、研究協力者謝礼としてのQUOカードの購入、事務補佐員の雇用を行うとともに、研究成果発表に向けて、最新の知見や知識の習得に必要な脳腫瘍・高次脳機能障害関連図書などを購入する。 また、資料・情報収集および研究成果発表のため、日本作業療法学会(Web)、日本高次脳機能障害学会(福島)、日本間脳下垂体腫瘍学会(東京)などに参加する。そのため、これらの学会参加費、交通費、宿泊費、日当、英文校正、学会誌投稿料などとして助成金を使用する。
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