2020 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中患者の歩行再建に向けた脊髄神経学的バイオマーカーの確立
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20K19352
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
高橋 容子 順天堂大学, 保健医療学部, 助教 (20845622)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 神経生理学 / バイオマーカー / ニューロリハビリテーション / 歩行 / 脳卒中 |
Outline of Annual Research Achievements |
脳卒中患者に歩行再建に対する、効果的な歩行ニューロリハビリテーションは未確立である。その原因は、脳卒中患者の歩行における異常な下肢運動パターンの神経メカニズムが未解明であることや、歩行再建の治療指標となる神経学的なバイオマーカーが存在しないことにある。本研究は、歩行中の脊髄神経経路の働きに着目し、脳卒中患者の歩行の異常パターンの脊髄における神経メカニズムを解明し、脊髄神経学的なバイオマーカーを確立することを目的に開始した。 2020年度は、歩行中の脊髄相反性抑制評価システムの開発を中心に実施した。脊髄相反性抑制の電気生理学的評価は、ヒラメ筋H反射を用いた条件-試験刺激法を用い、前脛骨筋からヒラメ筋に対するIa相反性抑制を評価できるようにした。歩行周期を16個のbinに分割し、任意のbinに対して試験刺激と条件刺激を実施した。試験刺激は、脛骨神経に対し、そのbinにおける最大M波の4-9%の振幅でヒラメ筋M波が誘発される強度で実施した。条件刺激は、総腓骨神経に対し、前脛骨筋のM波閾値で実施した。各binにおいて、試験刺激のみのH波、および条件刺激を加えたH波は、30発ずつ記録し、peak to peakの振幅値から相反性抑制を算出した。健常者3名における検証では、先行研究と同様の脊髄相反性抑制の値が確認された。慢性期脳卒中患者2名における検証では、健常者とは異なり、歩行の遊脚期において脊髄相反性抑制が脱抑制となる結果が得られた。まだ少数例での測定であるため、今後は脳卒中患者でのデータ収集をさらに継続する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症拡大にともなう実験の制限については、遠隔実験などで対応している。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の前半において、自施設での歩行中の脊髄神経経路評価システム構築が完了する予定であるため、多施設でのデータ計測が推進できる予定である。
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Causes of Carryover |
電気刺激装置の機種のアップデートがあり、購入時期を次年度へ変更したため。
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