2021 Fiscal Year Research-status Report
近赤外分光法及び経頭蓋交流電流刺激を用いた新たなメンタルプラクティスの開発
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20K19353
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Research Institution | Tokyo Kasei University |
Principal Investigator |
磯 直樹 東京家政大学, 健康科学部, 准教授 (70781649)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | メンタルプラクティス / NIRS / 運動イメージ / tACS |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は,メンタルプラクティスによる効果をtACSを運動関連領域に配置して刺激することで高めることができないかを検証するために,先ずはメンタルプラクティスを行う課題の学習の段階の違いによる脳活動への影響と効果の違いを検証した.学習課題として利用されているボールローテーション課題を用いて,学習段階別にメンタルプラクティスを実施して,その際の脳血流動態変化をNIRSを用いて検証した.さらに,その効果に影響する要因として運動イメージ能力の違い,運動イメージ鮮明度の違いを基に検証した. 結果としては.被験者11名を対象に課題の学習段階の初期,最終期ではメンタルプラクティスの効果は十分には発揮されず,メンタルプラクティス後の課題の習熟度に変化を認めなかった.但し,学習の中期段階では効果を認め,メンタルプラクティス後に課題の習熟度が高まる結果となった.運動イメージ能力と運動イメージ鮮明度に関しては,課題の習熟段階で大きな差はなく,脳血流動態変化もメンタルプラクティス後には運動関連領野のOxy-Hbが一様に増加したが,有意差を認めなかった.また,活性化領域としては対側の一次運動野及び運動前野付近にOxy-Hbの増加を示した.したがって,メンタルプラクティスの効果と学習段階による影響,メンタルプラクティス後の脳血流動態は必ずしも一致せず,メンタルプラクティスの効果を発揮した段階でも,十分に関連領域が活性化したとはいえない結果であった.2021年度の研究の結論としては,メンタルプラクティスを行う課題の学習段階の影響よりも,tACSによる脳活動の調整を促進することが,メンタルプラクティスの効果を高めることに繋がる可能性があることを示唆した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響により,被験者の確保が十分にできず,一定の期間のみしか実験実施ができなかったことが挙げられる.2021年度はメンタルプラクティス中にtACSの刺激を併用し,単純課題に加えて,ADLに関連する課題までを含めたメンタルプラクティスの検証を行う予定であった.しかし,第1段階の検証を実施するに留まり,当初予定していた段階までの研究を実施するまでに至らなかった.したがって,2022年度において単純課題からADL関連課題まで幅広い範囲の課題を用いてメンタルプラクティスとtACSを併用した新しい手法を検証していく.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度は学内のコロナ感染対策のステージも緩和され,被験者を募り,実験の実施が可能な状況である.2021年度,実施できなかった段階の研究から随時,被験者を募り,研究を実施していく予定である.また,研究実施に関して,他施設とのディスカッションが実際の実験に参加できなかったことから,十分に行えていなかった.2022年度は定期的に実験にも他施設の研究者に参加をして頂き,実験実施に関する課題などを検証しながら円滑に進められるよう取り組んでいきたい.
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Causes of Carryover |
コロナの影響により十分に実験が実施できず,本来,使用するはずであった旅費及び人件費が発生しなかった.2021年度に実施できなった実験を2022年度に追加して実施することで,当初予定していた使用額を利用して円滑な研究活動の実施を目指したい.
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