2020 Fiscal Year Research-status Report
ランダム化比較試験を用いた舌骨上筋群に対する磁気刺激の効果
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20K19360
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
戸田 芙美 藤田医科大学, 医学部, 講師 (90572206)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 摂食嚥下障害 / 舌骨挙上 / 磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
高齢化社会に突入している本邦においては高齢者の摂食嚥下障害への対策は非常に重要であり,摂食嚥下障害では嚥下反射中の舌骨挙上が障害されることが多い.舌骨を挙上させる舌骨上筋群に対する電気刺激療法はエビデンスのある治療としてメタ解析でもその有効性は証明されているが,電気刺激では刺激中の疼痛のために十分に強い刺激は行えていない.磁気刺激は皮膚に存在する侵害受容器を刺激しないために疼痛が少なく電気刺激の欠点を補いうるが,磁気刺激に用いるコイルが大きいためにこれまでは舌骨上筋群などの小さい筋の刺激は技術的に困難であった.われわれは舌骨上筋群刺激専用の小型コイルの開発に成功し特許を取得した.本研究により舌骨上筋群の磁気刺激療法が摂食嚥下障害を改善させることが明らかとなれば,摂食嚥下リハビリテーションの新たな治療法を確立でき,その臨床的意義は大きい. 本研究では,摂食嚥下障害患者に対する舌骨上筋群の磁気刺激の有効性を無作為化比較試験で検証する.2020年度はその予備試験として,無作為化比較試験の実現可能性(feasibility)を確認した. 当院回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中患者6名を対象とし,舌骨上筋群への磁気刺激を30Hzで刺激時間2秒間,休止時間2秒間として1日90 回,週5回,3週間行った. 磁気刺激中の痛みの訴えは6名ともなかった.磁気刺激開始前と開始から3週後で,同一条件下での嚥下機能検査の結果を比較すると,全員で改善を認めた. これより,無作為化比較試験は十分実現可能と判断した.また,摂食嚥下障害の改善も認めており,舌骨上筋群への磁気刺激の効果も期待できる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
摂食嚥下障害患者に対する舌骨上筋群の磁気刺激における無作為化比較試験の実現可能性を検討し,実現可能と判断した.当院回復期リハビリテーション病棟入院中の脳卒中患者を対象とし,無作為化比較試験を開始した.登録症例数を60名と設定し,現在エントリー中である.
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Strategy for Future Research Activity |
無作為化比較試験の登録症例のエントリーを進める。
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Causes of Carryover |
解析用コンピュータと解析のため統計解析ソフトウェアが未購入であり,今後購入予定である.
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