2021 Fiscal Year Research-status Report
脳卒中後の痙縮の病態解明および電気刺激療法の適応の検証
Project/Area Number |
20K19365
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Research Institution | Kio University |
Principal Investigator |
中村 潤二 畿央大学, 健康科学部, 研究員 (30793723)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 痙縮 / 脳卒中 / 電気刺激療法 / 前庭脊髄路 / 運動障害 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
痙縮は、種々の筋緊張調節に関わる神経機構の障害や、末梢組織の拘縮による弾性低下が影響すると考えられているが、その病態は多様であり、メカニズムは明らかではない。痙縮には、脊髄反射回路の興奮性を促通させる機能をもつ前庭脊髄路との関連が報告されているが、痙縮と前庭脊髄路の関係性を調査した研究は非常に乏しい。また多様な病態を示す痙縮に対して、その症例の病態に応じた適応や治療効果は検討されていない。本研究の第一目的は、脳卒中後の痙縮の病態を解明するために、痙縮と前庭脊髄路との関連について検証することである。また第二目的は、痙縮に対する電気刺激療法の最大限の効果を得るために、各症例の病態を踏まえ、電気刺激療法の適応を検証することである。 痙縮と前庭脊髄路との関係を検討するために、前庭系を経皮的に電気刺激した後に、ヒラメ筋H反射を計測し、H反射の変調の程度から、前庭脊髄路興奮性の機能を評価可能とされる計測法を、脳卒中患者に対して実施し、調査を継続している。 また健常者における同計測法の再現性、前庭脊髄路興奮性の左右差や姿勢制御との関連について国際誌 Neuroscience Letters誌に掲載された。健常者の前庭脊髄路興奮性と姿勢制御との関連について第30回奈良県理学療法士学会にて演題発表を行い、学会大会長賞・学術奨励賞を受賞した。また脳卒中後の痙縮と前庭脊髄路興奮性との関連について第19回日本神経理学療法学会学術大会において演題発表を行った。また研究成果の一部を第28回日本物理療法学会学術大会での特別講演において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験1の「痙縮と前庭脊髄路の関連性」については、脳卒中患者に、前庭系への経皮的な電気刺激を用いた前庭脊髄路の神経生理学的評価を実施し、症例数を蓄積中であるが、COVID-19の影響によりデータ計測も停滞した。結果の一部を学術大会にて演題発表したが、今後、さらなる症例数の蓄積を行い、学術誌への投稿を行う予定である。 実験2の「痙縮に対する電気刺激療法の効果および適応」については、脳卒中患者に対して電気刺激療法の前後での痙縮や前庭脊髄路興奮性の機能評価、歩行能力の評価を実施予定であった。実験1と同様に、COVID-19の影響があり、症例でのデータ計測が停滞した。
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Strategy for Future Research Activity |
第一実験である「痙縮と前庭脊髄路の関連性」については、脳卒中患者に対する前庭脊髄路興奮性の機能評価を継続して調査し、学術誌への投稿を進める。 実験2の「痙縮に対する電気刺激療法の効果および適応」については歩行が自力で可能な症例に限定した参加基準としていたが、今後もCOVID-19の影響によって、症例数の蓄積に影響がある可能性がある。そのため、前庭脊髄路興奮性や歩行の評価だけでなく、相反抑制などの脊髄反射や動作筋電図といった歩行以外との関連についても調査することで、歩行が自力で可能な症例としていた対象者の参加基準を拡張することを検討する。また近年、痙縮の治療として報告されてきている体外衝撃波療法などの電気刺激療法以外の物理療法が痙縮に与える影響についても調査していく。
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Causes of Carryover |
COVID-19によって発表を予定していた学術大会がWeb開催となり、旅費が生じなかったため、次年度使用額が生じた。筋電計の購入によるデータ計測環境の整備や成果公表のための論文投稿費などで使用することを計画している。
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Research Products
(5 results)