2020 Fiscal Year Research-status Report
Web会議システムを活用した遠隔嚥下リハビリテーションシステムの構築
Project/Area Number |
20K19366
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
大森 史隆 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 言語聴覚士 (70551307)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 嚥下 / 遠隔 / リハビリテーション / 検査 / オンライン / セルフトレーニング / 訓練 |
Outline of Annual Research Achievements |
在宅の嚥下障害患者に対する支援は十分かつ効率的に行われていない。背景には、地理的特性、高齢者側の身体的問題、医療者側のマンパワー不足、移動時間等が複合的に関与している。この問題点を軽減するために、本研究では、Web会議システムを活用した遠隔嚥下リハビリテーションシステムを試行的に導入・検証する。 今年度は、遠隔嚥下検査(Remote examination of swallowing:RES)の対面での信頼性と妥当性の検証を行った。RESとは、言語聴覚士122名にデルファイ法に基づくアンケート調査を経て作成されたもので、嚥下障害検出の適切性、遠隔実施可能性が確保された15下位項目からなる検査である。 一般高齢者22名、頭頸部癌術後患者65名を対象に、The Mann Assessment of Swallowing Ability(MASA)、RESを実施した。頭頸部癌術後患者には、これらに加えて、嚥下造影検査(VF)を実施した。その結果、分散が0であった「意識」の下位項目が削除され、14下位項目で高い内的整合性が確認された。また、基準関連妥当性、構成概念妥当性、評価者間信頼性、評価者内信頼性についても高い水準であることが確認された。遠隔では困難な項目を除外した構成にも関わらず、本検査の有効性が示された。現在、対面条件と遠隔条件の一致度の検証、満足度調査について、データ収集を行っている。 研究成果の一部は、日本嚥下医学会、International Society for Telemedicine & eHealthで学会発表を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウィルス感染拡大の影響により、在宅と病院をオンラインで接続して行う実地調査は行えていない。そのため、病院内で遠隔状況を作り、対面条件と遠隔条件を比較する方法へ変更し対応した。実地調査については新型コロナウィルス感染拡大が収束した段階で、実施予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2021年度は以下の計画を予定している。 1)遠隔でのセルフトレーニングの促進的介入を行う。 外来で嚥下リハビリテーションを実施中の患者を対象に、遠隔でのセルフトレーニングの促進的介入を行う。介入後のセルフトレーニングの頻度、舌圧、嚥下造影検査の結果を比較する。 2)対面条件と遠隔条件でのRES(Remote Examination of Swallowing)の比較を行う。 昨年度に引き続き、RESを対面・遠隔条件で実施する。また、RES実施後の満足度調査を行う。結果を学会・論文発表する。学会発表については、World Dysphagia Summitで行う。
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Causes of Carryover |
2020年度助成額に対し、次年度使用額が生じた。これは新型コロナウィルス感染拡大に伴う行動自粛の観点から、研究協力者らとの打ち合わせをオンラインに変更したことによる。
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