2020 Fiscal Year Research-status Report
術後遺残疼痛に対する理学療法の作用機序の解明と多角的定量評価による効果の検証
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20K19374
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 香織 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50817632)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 術後遺残疼痛 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、理学療法には術後遺残疼痛を克服できていないという課題がある。そこで、本研究の目的は術後遺残疼痛に対する理学療法の作用機序の解明とラットとヒトでの多角的定量評価を通じた理学療法の効果の検証である。膝蓋腱―膝蓋下脂肪体間に生理食塩液の代わりにトライアルとして墨汁を注入した。他研究に用いられた屠殺ラットに対して、墨汁を膝蓋腱後方、膝蓋下脂肪体前面の膝蓋腱と膝蓋下脂肪体の間に注入した。膝蓋下脂肪体を翻転して注入されたことを確認し、ハイドロリリースを再現した。膝蓋腱の後方、膝蓋下脂肪体の前面に液体を注入し、膝蓋下脂肪体と膝蓋腱の癒着をはがす。翻転した膝蓋下脂肪体の後面から注入した墨汁が透けて見えた。これらの研究過程によりハイドロリリースモデルラットを確立した。 理学療法の効果判定の手法として床反力計とポイントクラスターを使用した、モーションキャプチャーによる歩行解析を行う計画であった。変形性膝関節症にる膝痛患者20名に対し、通常歩行、階段昇降、片脚立位、ジョギングの課題を行った。疼痛の程度とジョギングの速度、歩行の速度に有意な相関は認めなった。また、歩行解析の結果、膝痛患者では歩行周期に乱れがあり、膝内反モーメントの最大値の増加を認めた。また片脚立位時にはhip-knee-ankle angleの増大を伴った。さらに変形性膝関節症の程度が強い患者ほど片脚立位時と両脚立位時のhip-knee-ankle angleの増加の程度が大きかった。また、同患者群で患者立脚型評価を取得し、全下肢正面像のレントゲン撮影を行い、各レントゲン学的パラメーターを計測した。その後、同患者群は高位脛骨骨切り術を受け、術後リハビリ介入した。来年度術後評価を通常歩行、階段昇降、片脚立位、ジョギングの課題を床反力計とモーションキャプチャーによる歩行解析にてを行う計画である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
ラットのハイドロリリースモデルの確立が出来、変形性膝関節症にる膝痛患者20名に対し歩行解析を行い、同患者群は高位脛骨骨切り術を受け、術後リハビリ介できており、概ね計画通りと考えられる。一方で、コロナによる本学の研究実施の規制に伴い、一部研究計画を変更さざる得なかった。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は確立した膝蓋下脂肪体線維化‐遺残疼痛モデルラットに対し、連日、膝蓋骨のモビライゼーション、あるいは超音波療法、あるいは5,10,15,20日目にハイドロリリースなどの介入を行い、理学療法の妥当性を評価する。引き続き変形性膝関節症患者への歩行解析を行い、高位脛骨骨切り術を受け、術後リハビリ介入したあとの評価を通常歩行、階段昇降、片脚立位、ジョギングの課題を床反力計とモーションキャプチャーによる歩行解析にてを行う計画である。
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Causes of Carryover |
概ね研究は順調に進んだが、一部コロナ禍の非常事態宣言に伴う、本学の研究規制により研究の順延、研究計画の変更を余儀なくされた。当該研究は次年度に行う予定の為、次年度使用額が生じた。
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