2022 Fiscal Year Research-status Report
術後遺残疼痛に対する理学療法の作用機序の解明と多角的定量評価による効果の検証
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20K19374
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Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
中村 香織 東京医科歯科大学, 大学院医歯学総合研究科, 非常勤講師 (50817632)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 術後遺残疼痛 / 膝関節手術 |
Outline of Annual Research Achievements |
膝関節手術後における理学療法では術後遺残疼痛が克服できていないという課題がある。また、術後遺残疼痛の中では一定数の患者において、理学療法で介入しうる膝蓋下脂肪体部や大腿四頭筋等の関節外に疼痛が遺残している。遺残疼痛を認める患者では膝関節前面の線維化、硬さ、膝蓋骨の可動性の低下を伴うことが多い。現在、理学療法として組織のモビライゼーション、超音波療法、ハイドロリリースなどが積極的に行われている。しかし、上記のように遺残疼痛を克服できていない理由として科学的なエビデンスに乏しいことが挙げられる。エビデンス構築のため、ラットでの慢性疼痛モデルを作成し、理学療法を再現する事を試みるため、膝蓋下脂肪体痛モデルの作成を行った、ラット膝関節内に炎症誘発物質としてモノヨード酢酸を1.0mg投与した。投与後にインキャパスタンステストによる疼痛回避行動が長期間継続し、慢性疼痛となる事を見出した組織学的には炎症誘発物質投与1日目よりさ炎症細胞の浸潤を認め、投与後5日目から10日目にかけて膝蓋下脂肪体の線維化が急激におこっておりました。さらに線維化部位には新生血管と新生血管に伴走する神経線維の増殖を認めました。そして他研究に用いられた屠殺ラットを用いてハイドロリリースモデルを作成するために膝蓋腱―膝蓋下脂肪体間に墨汁を注入した。墨汁を膝蓋腱後方、膝蓋下脂肪体前面の膝蓋腱と膝蓋下脂肪体の間に注入した。膝蓋下脂肪体を翻転して注入されたことを確認し、ハイドロリリースを再現した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ感染拡大に伴い、コロナ感染症患者の対応や、研究室への学外研究者の立ち入り制限等で一部実験を延期せざる得なかったが、おおむね順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
膝蓋下脂肪体線維化‐遺残疼痛モデルラットでは炎症誘発物質の関節内投与後5日目から10日目に線維化が急激に進むことが先行実験で分かっている。炎症誘発物質の関節内投与後5日目以降に、連日、膝蓋骨のモビライゼーション、あるいは超音波療法、あるいは5,10,15,20日目にハイドロリリースを施行する。28日後に屠殺し、膝関節を摘出し、マッソントリクローム染色にて線維化の拡がりと理学療法ラットとしての妥当性を評価する。
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Causes of Carryover |
コロナ感染の拡大により、コロナ感染患者に対する診療を行う必要と研究室への学外従事者の入室制限により一部実験を次年度に延長の必要があったため、次年度使用額が生じた。
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