2021 Fiscal Year Research-status Report
筋と脊髄を繋ぐ人工神経接続による脊髄損傷後の運動機能回復とその作用機序の解明
Project/Area Number |
20K19377
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Research Institution | Tokyo Metropolitan Institute of Medical Science |
Principal Investigator |
兼重 美希 公益財団法人東京都医学総合研究所, 脳・神経科学研究分野, 研究員 (40867868)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脊髄 / 筋 / 一次運動野 / 刺激 / 脊髄損傷 / 機能回復 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、不全麻痺を呈する不完全脊髄損傷を想定し、麻痺肢の減弱した随意筋活動を使って、損傷より下位の脊髄を電気刺激する筋ー脊髄間人工神経接続を開発し、脊髄損傷後の運動機能の回復と機能回復に内在する神経機序を解明することを目的としている。 当該年度は、頸髄C4/C5損傷により上肢の不全麻痺を呈したサルに麻痺肢の筋活動依存的に損傷より下位の頸髄を刺激する筋ー脊髄間人工神経接続によるリハビリテーションを行い、運動機能の回復過程に伴う脊髄のアウトプットと一次運動野神経活動を記録する実験を行い、予定していたデータの取得を終えた。頸髄損傷サルは、損傷から約2ヶ月間人工神経接続を用いたリハビリテーションを行うことで、損傷直後は困難となった運動課題を損傷前と同様に行えるほどに回復した。また、回復に伴って、脊髄刺激による誘発筋電図および誘発トルクは上昇し、一次運動野神経細胞活動が減少することが明らかとなった。これらの研究成果の一部は、日本神経科学大会のシンポジウムで発表した。 また、上記の実験を行う過程で、健常サルの随意運動中の脊髄刺激は、150-1350μAの刺激強度を用いることで、随意筋活動およびトルクをブーストできることを見出し、論文を投稿した。これらの成果は、脊髄刺激は脊髄内の興奮性及び抑制性神経回路を活性化することを通して、脊髄損傷により減弱した随意筋活動とトルクを増強できることを示す研究成果である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験によるデータの取得を終え、解析を進めている。予定通りに研究を遂行できている。
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Strategy for Future Research Activity |
取得した実験データの解析を行い、論文を作成する。
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Causes of Carryover |
コロナウイルスの蔓延防止対策により学会や研究会がオンライン参加になったことで、想定していた旅費を使用する必要がなく、次年度へ繰り越す予算が生じた。次年度は、主にデータ解析と論文の作成を予定しているため、それを行うために必要となるソフトウェアやパソコンのモニターなどを購入予定である。
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