2021 Fiscal Year Research-status Report
Establishment of ICF-based model for disability of daily life performance and in elderly with heart failure and verification of new intervention methods of caldiac rehabilitation
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20K19378
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
塩田 繁人 広島大学, 病院(医), 作業療法士 (30809025)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 心不全 / 生活行為 / 質的研究 / 障害モデル / ICF / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、高齢心不全患者に対するインタビュー調査により、ICFに準じて生活行為の障害構造を解明し、生活行為障害モデルを確立することである。さらに,このモデルに基づいて、テーラーメイドの生活行為に焦点を当てたリハビリテーション手法を開発し、効果検証まで実施することを予定している. インタビュー調査に関する研究の倫理申請の承認は得ており,ICレコーダーや記録フォームなどの準備は整っていたものの,2021年度は2020年度に引き続きCOVID-19の蔓延のため,職場の感染対策に伴い,個室でのインタビュー調査が困難な状況が続き,研究の進捗が遅れた.感染状況が落ち着いたこともあり,現在は4例の高齢心不全患者(75歳以上)のインタビュー調査を終え,SCAT(Steps for Cording And Theorization)の用いて質的分析を行っている.4例のデータ分析からは,「運搬」,「夫の介護」,「買い物」,「バスの乗車」,「洗濯物を干す」,「拭き掃除」のテクストが抽出されており,それぞれICFコードに分類した上で,ストーリ・ラインの作成と理論記述を繰り返す予定である.今後,理論的飽和に至るまでインタビュー調査を続け,抽出されたそれぞれの生活行為の障害要因および改善のための工夫やサポートに関する生活行為障害モデルを作成する予定である. 本研究により、高齢心不全患者の実際の声に基づく生活行為の工夫やサポートをパンフレットにまとめることで,在宅における至適範囲での活動量向上に繋がり、QOL向上や社会保障費の軽減が期待できる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は2020年度に引き続き,COVID-19の蔓延のため,患者に対する個室でのインタビュー調査が困難な状況が続き,質的研究の開始が遅れた.質的研究によって生活行為障害モデルを作成し,リハビリテーション手法を開発する予定であったため,研究全体の遅延となっている. 感染状況が落ち着き,行動規制が緩和されたことから,インタビュー調査が開始可能となり,現在は,4例のインタビューデータを収集し,質的分析を行っている.今後,毎月5例のペースでインタビュー調査を進めると同時に,心不全患者の実際の声に基づいて『心不全患者の生活行為の工夫パンフレット』の作成を進める予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
研究の進捗は遅れていたが,COVID-19感染状況が落ち着いたことから行動規制が緩和され,インタビュー調査を開始できた.今後,毎月5例のペースでインタビュー調査を進め,理論的飽和に至るまで調査を繰り返す予定である.SCATを用いた質的分析は調査と同時に行っており,2022年8月には質的分析を完了し,モデル作成に取り組むことを予定している.また,インタビュー調査と並行して『心不全患者の生活行為の工夫パンフレット』の作成を進めており,11月-12月を目途にデルファイ調査によって生活行為障害に対する生活行為の指導内容を確立し,介入研究に向けた準備を進める予定である. COVID-19の感染状況によっては,心不全患者に対する介入研究が困難となる可能性もある.その場合,健常者を対象に『心不全患者の生活行為の工夫パンフレット』を用いた指導が心負荷を軽減するかを明らかにする.効果判定については,実際のADL動作を遂行中の心拍出量と酸素摂取量,身体活動量を心拍出量計と携帯型呼気ガス分析装置,身体活動量計を用いて指導前後で比較することを考えている.
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Causes of Carryover |
COVID-19の蔓延により,インタビュー調査の開始が遅延したため,調査に関する文字おこしの費用や英文校正・論文投稿に関する費用が繰り越しとなった.また,海外学会への参加が困難となったことから,旅費についても次年度使用額が生じた理由である. 2022年度では,インタビュー調査およびデルファイ調査を進める予定であり,当初予定の助成金の使用を予定している.
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