2021 Fiscal Year Research-status Report
下腿三頭筋への神経筋電気刺激療法を用いた透析中の受動トレーニングプログラムの確立
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20K19384
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Research Institution | Prefectural University of Hiroshima |
Principal Investigator |
積山 和加子 県立広島大学, 保健福祉学部(三原キャンパス), 准教授 (20613011)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 腎臓リハビリテーション / 神経筋電気刺激 / 血液透析 / 慢性腎臓病 / 物理療法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では,透析中に下腿筋に対して神経筋電気刺激療法(Neuromuscular electrical stimulation:NMES)を行い,その効果を運動機能や透析効率等の面から検証することを目的としている。 今年度については透析中のNMESが循環動態や透析効率に与える影響について引き続き検討を行った。対象者は外来維持透析患者で独歩または歩行補助具を使用して10m歩行が可能な者とした。対象者には本研究の目的を説明して書面にて同意を得た。透析中に下腿筋にNMESを20分間,40分間行うNMES20条件,NMES40条件とNMESを行わず通常の透析を行うコントロール条件とした。NMESは透析開始から1時間以上経過し,循環動態が安定していることを確認してから実施した。NMESの刺激強度は各対象者の耐えうる最大強度として20分間と40分間,それぞれ実施した。 透析中の循環動態の指標は血圧と脈拍数とし,NMES前後を比較した。コントロール条件では同じ時間帯の血圧と脈拍について1時間の経過を比較した。透析効率の指標は,尿素窒素(UN),クレアチニン(Cr),無機リン(iP)の除去率(%)を求めた。各指標について検討を行った結果,NMES20条件,NMES40条件,コントロール条件ともに循環動態指標(血圧・脈拍)は著明な低下や上昇を認めず,透析効率の指標についても差は認めなかった。これらの結果から,透析治療中の下腿筋へのNMESは循環動態が大きく変動するほどの影響を認めず,安全に実施できることが示され,NMESの時間を40分に延長しても問題無いことが示された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度も新型コロナウイルス感染拡大の影響で,対象者への介入が一時中断したことや対象者の追加が遅れる結果となった。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルスの感染拡大防止対策を行った上で引き続き対象者を募り,透析中の下腿筋へのNMESトレーニングが運動機能や透析効率に与える影響について検討を行いたい。ただし,対象者の安全性確保が最優先であるため,新型コロナウイルス感染状況によっては感染リスクの高い対象者への介入の一時中止も検討する必要がある。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響で介入できる対象者数に制限が生じ,消耗品の費用等が予定より低くなった。また,情報収集のための対面での学会発表や学会参加機会がほとんどなく旅費についても当初予定よりも使用が少なかった。 次年度以降も新型コロナウイルス感染拡大防止対策を行った上で引き続き,対象者を募り介入を継続していきたい。
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