2023 Fiscal Year Research-status Report
小脳および前庭器官への電流刺激が小脳抑制ならび前庭脊髄路興奮性に与える影響
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20K19390
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
犬飼 康人 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 教授 (20757801)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 小脳 / 前庭器官 / 電気刺激 / バランス機能 |
Outline of Annual Research Achievements |
加齢に伴い顕著となる高齢者のバランス障害は,転倒を引き起こす危険因子である.したがって,バランス障害に対する効果的な治療法の開発は,高齢者の転倒予防に貢献すると考えられる.本研究課題は,バランス機能を向上させることが報告されている小脳および前庭器官への電流刺激の効果的な刺激方法の検証と刺激効果のメカニズムの解明を目的とした研究課題である. これまでの研究成果から,小脳の活動性を変調させる経頭蓋直流電流刺激(tDCS)と前庭脊髄路の興奮性を変調させる前庭ノイズ電流刺激はいずれも刺激終了後のバランス機能を向上させることが明らかになっている.しかしながら,この2つの電気刺激法の刺激効果の関係性は明らかになっていない.そこで,本年度は小脳に対する経頭蓋直流電流刺激が前庭脊髄路の興奮性変化に与える影響について検証を行った. 若年健常者15名を対象とし,小脳へのtDCS介入を行った後の前庭脊髄反応を測定した結果,tDCS介入後に前庭脊髄反応が増大した対象者ではバランス機能の指標の1つである安静立位時の重心動揺が減少するという正の相関関係が認められることが明らかになった.本年度の研究成果から,小脳へのtDCS後に生じるバランス機能の向上には,前庭脊髄路の興奮性変化が影響していることが示唆された.しかしながら,対象者全員としてはtDCS介入後にも安静立位時の重心動揺の有意な減少は認めなかったことから,小脳へのtDCS後に生じる前庭脊髄路の興奮性変化には個人差があることが明らかとなった. 現在,論文投稿に向け準備を進めている.また,小脳tDCSの刺激効果の個人差に影響を与える因子を明らかにすることを目的に追加実験を進めている.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍の影響により実験スケジュールが当初の予定より遅れたことにより,論文投稿までには至らなかった.また,当初予定していなかった小脳tDCSの刺激効果の個人差に関する要因を検証する必要が生じたため,追加実験を行っているので予定より遅れが生じている.
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Strategy for Future Research Activity |
今後は,今年度得られた検証結果をまとめ論文投稿を行う予定である.また,追加実験についても既に着手しており,実験が終了次第検証結果をまとめて論文投稿を行う予定である.
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Causes of Carryover |
当初の予定より遅れが生じたため,英文校正費ならび投稿料として予定していた使用額の支払いが次年度に遅れてしまったため.現在,論文投稿に向けて準備を進めており次年度に本年度の予定していた額を使用予定である.
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Research Products
(2 results)