2021 Fiscal Year Research-status Report
Involvement of excitatory-inhibitory balance on upper limb motor recovery after stroke
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20K19393
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
上原 信太郎 藤田医科大学, 保健学研究科, 講師 (30725130)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 脳卒中 / 運動機能回復 / 神経生理学 / 上肢 / 神経興奮性 / 到達運動 / 経頭蓋磁気刺激 |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度もデータ計測・収集を継続して実施した。これまでのデータを基にした横断的分析により(n=29)、およそ半数にあたる14名の脳卒中患者において、損傷側半球から上肢末梢筋への皮質脊髄路の健全性が著しく低下していることがわかった。すなわち、これらの参加者においては、損傷半球の第一次運動野に対して経頭蓋磁気刺激を与えたとしても手指筋から運動誘発電位を取得することができなかった。また、先行研究でも示唆されているように、運動誘発電位が記録できないこれら14名の対象者は、残りの15名に比較して、麻痺側上肢の運動機能および能力が低い傾向にあった。このことから、麻痺側上肢の運動機能には皮質脊髄路の健全性が大きく関係していることが明らかとなった。 一方で、運動誘発電位が記録できた対象者においては、損傷側一次運動野内の抑制性神経回路の興奮性が非損傷側に比して低下するという特徴を有することが示された。ところが、麻痺側上肢の運動機能はこの皮質内回路に関する神経生理学的指標や誘発電位の大きさそのものとの関係性は低く、一方で末梢の神経・筋機能を反映する神経生理学的指標との関連を示唆する結果が得られた。したがって、損傷側半球に見られる皮質内抑制の変化や皮質脊髄路の障害度合いは、個々の対象者の運動機能レベルを説明できるほどの感度を有さないことが示唆された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に引き続き、データ計測・収集が概ね順調に進んでいるため。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画通り、引き続きデータ計測・収集を継続するとともに、論文報告に向けたまとめ作業を進めていく予定である。
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Causes of Carryover |
国際学会等への出張費用を計上していたが、学会参加の取りや、めまたはオンライン開催への移行により支出額に大幅な変更が生じた。次年度は当該研究を発展させる備品の購入費用に充てるなど、支出内訳の変更を検討していく。
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Research Products
(7 results)