2020 Fiscal Year Research-status Report
脳・脊髄・筋パフォーマンスデータからみる運動イメージ効果の加齢的変化
Project/Area Number |
20K19397
|
Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
福本 悠樹 関西医療大学, 保健医療学部, 助教 (60817211)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | Motor imagery / Oxygen-hemoglobin / F-waves |
Outline of Annual Research Achievements |
地域包括ケアシステムは高齢者の「自助」が基盤である。しかし、高齢者がセラピストなしで「自助」の概念に基づき自ら主体的に関わる自主トレーニングを行った場合、相応のリスクを自身で負うことになる。その対策として、我々は安全性の高い運動イメージを複合する運動戦略に着目してきたが、解決すべき課題も散在する。まず運動イメージが運動技能を向上させることは多く報告されているが、神経リハビリテーションにおけるその効果は様々であった。その理由として、運動イメージ中の運動発現経路の全てを明らかにできていないことが挙げられる。そこで本研究では脳・脊髄の同時計測により、運動イメージ中の神経機構の明確化を図った。若年者を対象として以下の研究手順を実施した。参加者は、30秒間の安静の後、ピンチ力を最大随意収縮の50%強度(50%MVC)に調節するイメージを実施した。運動イメージ後、50%MVCに調節する能力がどのように変化するか評価した。また、運動イメージ中には、NIRSを使用した補足運動野・一次運動野の評価を実施すると共に、F波を使用した脊髄前角細胞の興奮性変化も評価した。得られたこれらデータを観測変数として用い、構造方程式モデリングにて因子間の因果を明らかにした。結果として、運動イメージ中には補足運動野の活動が認められる一方で、一次運動野の活動は認めなかった。運動イメージ中に一次運動野が活動するとした多くの報告が存在するが、一次運動野の活動は運動イメージ生成に直接的には関与していない可能性が明らかとなった。加えて、運動イメージ中には脊髄前角細胞の興奮性増大も認め、脊髄前角細胞の興奮性は補足運動野からの入力により調節されていることが明らかとなった。さらに運動イメージ中に脊髄前角細胞の興奮性が増大することが、運動イメージ後の運動技能向上に関与している点まで明らかとなった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年者を対象とした運動イメージ中の神経機構の検討は実施できているが、新型コロナウイルスの蔓延により高齢者データの計測の進捗がやや遅れている。
|
Strategy for Future Research Activity |
運動イメージ効果は、若年者ほど得られやすく高齢者になると得られにくいことが報告されている。リハビリテーション場面では、高齢者を対象とすることが多く、今後はage biasについて検討を続けていく。
|
Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延により国際学会での発表(海外渡航)が難しくなり次年度使用額が生じた。次年度には、高齢者データの計測を進める予定であり、その際には謝金として一部使用予定である。また、現在In pressの状態である若年者の結果に関して、雑誌掲載料として使用する予定である。
|