2021 Fiscal Year Research-status Report
脳・脊髄・筋パフォーマンスデータからみる運動イメージ効果の加齢的変化
Project/Area Number |
20K19397
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Research Institution | Kansai University of Health Sciences |
Principal Investigator |
福本 悠樹 関西医療大学, 保健医療学部, 助教 (60817211)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | Motor imagery / Oxygen-hemoglobin / F-waves |
Outline of Annual Research Achievements |
運動イメージが運動技能を向上させることは多く報告されているが、神経リハビリテーションにおけるその効果は様々であった。その理由として、運動イメージ中の運動発現経路の全てを明らかにできていないことが挙げられる。そこで本研究では脳・脊髄の同時計測により、運動イメージ中の神経機構の明確化を図った。 まず、若年者を対象として、運動に関連する脳領域としての補足運動野と一次運動野の活動が脊髄前角細胞の興奮性とどのように関連しているのか、構造方程式モデリングにて因子間の因果を明らかにした。結果、運動イメージ中には補足運動野の活動が認められる一方で、一次運動野の活動は認めなかった。また、運動イメージ中には脊髄前角細胞の興奮性増大も認め、脊髄前角細胞の興奮性は補足運動野からの入力により調節されていることが明らかとなった。これより、運動イメージ中の神経機構を考えるうえで、補足運動野と脊髄前角細胞が重要部位になると考えられるが、一方で経験のないイメージ中に補足運動野は活動しないことが分かっている。そこで関心領域をさらに広げ、検討を続けた。その結果、運動イメージ中には、補足運動野のほかに、前頭眼窩、前頭極、背外側前頭前野も活動していることが分かった。しかし、補足運動野以外の領域は脊髄前角細胞の興奮性増大と相関関係を認めなかった。以上を元にした構造方程式モデリングによる推定モデルからは、ヒトは運動イメージ中に、過去の知識を基本にした直感的な意思決定のために前頭眼窩が活動し、次に自分自身の認知の過程を主観的にとらえて内省的に評価するため前頭極が活動し、最終的にワーキングメモリに重要な背外側前頭前野へと繋がっていく可能性が示唆された。これら領域間の繋がりの後に補足運動野の興奮性が増大し、脊髄前角細胞の興奮性が調整された結果、運動技能向上に至っていることが考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
若年者を対象とした運動イメージ中の神経機構の検討は概ね実施できた。しかし、未だ新型コロナウイルスの蔓延が落ち着かないため、高齢者データの計測の進捗がやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
運動イメージ効果は、若年者ほど得られやすく高齢者になると得られにくいことが報告されている。高齢者を対象とした計測を行う中で、運動イメージ中の神経機構について、age biasについての検討を行っていく。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの蔓延により国際学会での発表(海外渡航)が難しくなり次年度使用額が生じた。感染拡大が収まらず、未だ高齢者データが計測できていない。次年度には高齢者データの計測を進める予定であり、その際には謝金として一部使用予定である。
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Research Products
(4 results)