2020 Fiscal Year Research-status Report
Electrical stimulation therapy to promote pressure injury healing by activation of skin cells
Project/Area Number |
20K19398
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Research Institution | Kansai University of Welfare Sciences |
Principal Investigator |
植村 弥希子 関西福祉科学大学, 保健医療学部, 助教 (10786601)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | マクロファージ / 褥瘡 / 電気刺激 / 炎症性サイトカイン |
Outline of Annual Research Achievements |
国内外のガイドラインにおいて難治性潰瘍である褥瘡に対する電気刺激療法が推奨されているが、その治療条件は確立されていない。我々は200μA、2Hz、duty cycle 50%の直流パルス電流刺激がヒト皮膚由来線維芽細胞の陰極方向への遊走、増殖、筋線維芽細胞への分化を誘導することを明らかにし、その臨床効果も確認してきた。正常の創傷治癒過程ではマクロファージから産生される創傷治癒促進因子であるTGF-βやIL-10により線維芽細胞は活性化され、肉芽組織が増殖、閉創に至る。しかし、褥瘡は創部の炎症が遷延化しており、いわゆる炎症性マクロファージとよばれるM1マクロファージの割合が増加し、常にTNF-αやIL-1βなどの炎症性サイトカインを産生している状態となっている。正常な治癒過程を引き起こすためには、このマクロファージの極性を変化させ、創傷治癒促進因子を産生させることが重要であると考えられる。そこで本研究は、マクロファージの極性を変化させ、線維芽細胞を活性化させる因子を産生させる電気刺激条件の解明を目的としている。 令和2年度はRAW cellに対し200μA、2Hz、250msecの直流パルス電流刺激を行った。電気刺激後に100μg/mLのLPS刺激を1.5時間行い、サイトカイン産生の変化を確認した。炎症性サイトカイン(M1マクロファージ関連因子)であるIL-1β、IL-6、TNF-α mRNA産生はLPS単独刺激により上昇したが、電気刺激群ではLPS群と比べ有意に産生量は低下し、TNF-αはcontrolと同程度まで産生量は低下した。抗炎症性サイトカイン(M2マクロファージ関連因子)であるArg-1産生に有意な差は認められなかったが、電気刺激群で上昇傾向であった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験は他大学で行っており、緊急事態宣言中は実験施設への立ち入りが困難であったことから研究開始が遅延した。また、pre実験であるRAW cellの結果をもとにマウス骨髄由来マクロファージを使用し電気刺激実験を行っていたが、同様の刺激では細胞死を誘発してしまったため、細胞死を生じさせない電気刺激条件の検討を行った。刺激6時間ではcontrolと比べ細胞生存率は低下したため、現在はマウス骨髄由来マクロファージに対し、2時間の電気刺激後にpre実験と同様にLPS刺激を行い、そのサイトカイン産生の変化を確認している。結果、炎症性サイトカインであるIL-1βの産生量が電気刺激で減少したことを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
直流パルス電流刺激のマクロファージ極性に与える影響を確認するため、マウス骨髄由来マクロファージに対し電気刺激およびLPS刺激を行い、炎症性サイトカインおよび抗炎症性サイトカイン産生量を確認する。また、M2マクロファージへの極性変化を確認するため、リコンビナントIL-4を添加したマクロファージと電気刺激を行ったマクロファージでのM2関連gene発現を比較検討する。 抗炎症性サイトカインを産生させる刺激条件を確立するため、刺激強度および周波数の違いによる影響を検討する。実験方法としては上記同様、LPS刺激を行う群とリコンビナントIL-4で刺激を行う群と電気刺激群でのM1/M2関連geneの発現を比較検討する。
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Causes of Carryover |
令和2年度は実験開始時期が遅れたこともあり、予定していた実験が遂行できなかったことから未使用分が発生している。令和3年度は引き続き電気刺激がマクロファージの極性およびサイトカイン産生に与える影響を確認する実験を行い、当初予定していた試薬等の購入にあてていく。
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