2022 Fiscal Year Research-status Report
Providing evaluation methods of chronic pain using Pavlovian fear conditioning paradim
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20K19399
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Research Institution | Naragakuen University |
Principal Investigator |
前田 吉樹 奈良学園大学, 保健医療学部, 専任講師 (10738610)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 恐怖条件付け / 慢性疼痛 / 条件付けの消去 / 集学的リハビリテーション / 皮膚電気活動 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実験的な侵害刺激を用いた「恐怖条件付け」実験系により、健常人と慢性痛患者とで痛みに対する恐怖心の獲得過程とその消去過程がどのように異なるかを検証し、痛みの慢性化メカニズム解明の一助とすることを目的としている。令和4年度は、令和3年度に確立した恐怖条件付けの実験系を用いてさらに予備実験を行い、健常成人3名に対して手首を動かす際に電気刺激を付与することで運動に恐怖条件付けが形成される過程を生理反応(皮膚コンダクタンス反応:SCR)で捉えた。 ところが研究を進める上で、SCRが恐怖の学習を反映するかについて議論の余地があることがわかった。さらに、条件刺激(CS)に運動を用いているという特異性から、SCRの振幅の変化が別の要因で生じている可能性を検証することにした。 まず、熱刺激を用いた過去の研究データを再度解析し、「SCRがもともと出やすい人ほど条件付けが起こりやすいのか」「条件付けの起こりやすさと消去学習の起こりやすさは相関するか」を検証した。結果、条件付けの起こりやすさ(ベースラインからの上昇幅)は、刺激に対する反応の大きさ(痛み刺激単体を受けたときのSCRの出やすさ)とは無関係であることがわかった。また、条件付けが起こりやすい人ほど、消去学習も起こりやすいことがわかった。これはCSに運動を用いていることに特異的な現象である可能性がある。 この現象が電気刺激を用いた場合でも同様におこるかを、現在検証中である。 また別の研究ではあるが、同様の電気刺激装置を用いて、Virtudal Realityを視聴しているときの痛み刺激に対する生理反応の実験を行った。結果、SCRが安定して出現することを確認でき、次の研究につなげることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
前述のとおり、実験の方法的な問題点を見直すために時間を要した。また、新型コロナウィルス感染症拡大に伴う学内業務の見直し、準備に時間を割かれたほか、情勢が比較的落ち着いて以降の時期も、学生教育に時間を充てた結果、研究の進捗が遅れてしまった。 このため1年の期間延長を申請し、令和5年度に改めて実験を行うこととした。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染拡大について終了の兆しが見えてきたので、SNSや掲示板などを用いて積極的に被験者募集を行い、実験を進める。また、現時点で予備的解析のデータでも論文を書く。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染拡大を受け、学会参加費用(旅費)と研究対象者への謝金(人件費)が使用できなかったため。次年度は社会情勢を鑑みながら、これらの用途も使用を検討する。
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