2021 Fiscal Year Research-status Report
能動的注意と受動的注意の協調性に着目した半側空間無視の新たな評価機器の開発と解析
Project/Area Number |
20K19401
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Research Institution | International University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
玉利 誠 国際医療福祉大学, 医療福祉学研究科, 准教授 (80786145)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 半側空間無視 / 能動的注意 / 受動的注意 / structural connectivity / functional connectivity |
Outline of Annual Research Achievements |
半側空間無視の病態基盤として,2つの注意機能(能動的注意と受動的注意)が重視されている.能動的注意は空間に対する意図的な注意機能であり,受動的注意は外発的に生じた刺激に反応する注意機能であると考えられており,正常人は両注意機能が協調的に機能していると考えられている.現在,能動的・受動的注意機能をそれぞれに評価し得る機器は存在するものの,両者の協調性を評価し得る機器は存在せず,また,脳の構造的および機能的ネットワークとの関連についても不明な点が多い.そのため,本研究では,能動的注意と受動的注意の協調性を評価し得る評価課題の開発を目指すとともに,脳の構造的および機能的ネットワークとの関係について検討することを目的とする. 昨年度は,[研究1]として,能動的および受動的注意の協調性の評価を目的とした課題を修正し,VRゴーグルを使用した視線追跡のみで評価可能とするアプリケーションを開発したため,今年度は,当該アプリケーションを用い,健常若年成人を対象としたプレテストを実施し,視覚刺激の呈示範囲や速度について検証を行った.その後,[研究2]として,通所リハビリテーションを利用する高齢者30名を対象に計測を行い,開発課題(アプリケーション)を用いた各定量値の正常範囲について検討した.さらに,[研究3]として,脳卒中後に半側空間無視を呈する患者を対象とした調査を実施する前段階として,特徴的な脳卒中患者3例を対象としたプレテストを行い,開発課題(アプリケーション)の実施に操作的な問題がないことを確認した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウィルス感染症の影響により,病院をはじめとする各施設におけるデータ計測が不可能な時期が続いたため,[研究2]では健常高齢者100名のデータ収集を目標としていたが,30名の収集が限界であった.また,[研究3]では半側空間無視を呈する患者50例のデータ収集を目標としていたが,該当する患者は存在したものの,感染対策によりデータ収集を行うことができなかったため,年度末時点で3例のデータしか収集できていない状態である.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルス感染症の影響により,健常高齢者や脳卒中患者を対象としたデータ数を予定通り収集できていないものの,研究費の執行によりアプリケーションの開発や脳画像解析のための環境については整備できているため,今後は新型コロナウィルス感染症の影響を見ながら,データ収集を適切に継続していく予定である.また,研究代表者が病院に出入りできない時期においてもデータ収集が可能となるよう,データ計測の体制について研究協力施設と調整を行っている.
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Causes of Carryover |
計画通りに研究費を執行したが,新型コロナウィルス感染症の影響によりデータ収集が不可能な時期が続いたため,収集データをまとめ,学会発表および論文投稿に至ることができず,一部予定通りに研究費を執行することができなかった.予定していたデータ数には至っていないものの,データ収集のための環境は整備されたため,前年度の研究費も含め,次年度は当初の計画に基づき,データ収集を進めていく.
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