2023 Fiscal Year Annual Research Report
エビデンスに基づく人工股関節全置換術前後のシームレスな理学療法プログラムの構築
Project/Area Number |
20K19419
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Research Institution | Kanagawa University of Human Services |
Principal Investigator |
田中 繁治 神奈川県立保健福祉大学, 保健福祉学部, 助教 (50817666)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 変形性股関節症 / 歩行能力 / 生活の質 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では人工股関節全置換術(THA)後の生活の質(QOL)と歩行能力の回復に焦点を当て、これらを効果的に回復させるためのリハビリテーション実施時の介入ポイントと目標値を設定し、手術前後からの科学的根拠に基づいたシームレスな理学療法を構築することを目的としている。 本研究は5施設の医療機関で実施された観察研究である。本研究では先行研究に基づいてTHA前後に計測する因子を選定し、4つの社会人口学的因子、8つの理学療法評価、3つの手術情報を計測した。本研究では最終的に281名のデータ測定を完了した。最終年度には、本研究の術前のデータを中心に分析を実施し、研究成果を国内学会4件、国際学会1件、英語論文1件として公表した。本研究において、THA前の歩行能力を維持するためには患側膝関節伸展筋力、患側股関節伸展可動域、股関節屈曲可動域を保持することが重要であることが明らかとなった。また、これらの機能へ介入する場合の改善に関わる目標値としては、膝関節伸展筋力が0.33Nm/kg、股関節伸展可動域が3.3度、股関節屈曲可動域が4.7度であることを明らかにした。術前から高い身体機能を維持するためには、リハビリテーション介入時にこれらの数値以上の改善を目指すことが重要であると示唆された。加えて、QOLに関連する要因としては疼痛に対する破局的思考が独立して影響することが明らかとなった。そのため、QOLを改善としてリハビリテーションを実施するためには、破局的思考について考慮した介入が重要であると示唆された。 今後は、シームレスな理学療法プログラムの構築のため、術後の状態をアウトカムにした分析を継続し公表に行っていく予定である。
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