2020 Fiscal Year Research-status Report
脳律動の個人特性に合わせた皮質活動の変調が二点識別覚へ及ぼす影響の解明
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20K19429
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Research Institution | Niigata University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
横田 裕丈 新潟医療福祉大学, リハビリテーション学部, 助教 (20827472)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | 二点識別覚 / 経頭蓋交流電流刺激 / 左後頭頂皮質 / 一次体性感覚野 |
Outline of Annual Research Achievements |
二点識別覚(Two-point discrimination: TPD)において,触覚情報を高次領野へ伝達する一次体性感覚野の重要性や左後頭頂皮質が認知段階の責任領域であることが示唆されている.我々は,脳律動を刺激周波数と同調させることができる経頭蓋交流電流刺激(tACS)を用い,10 Hz(α帯域)のα-tACSで一次体性感覚野および後頭頂皮質を刺激し,α-tACSがTPD閾値に与える領域特異的効果を明らかにすることを目的に実験を行ってきた. これまでに21名の健常成人(平均年齢:20.5±0.8歳)を対象に,左後頭頂皮質あるいは一次体性感覚野にtACS刺激中に,特注の二点式触覚刺激装置を用いて右示指指腹に対するTPD測定を行った.その結果,左後頭頂皮質に対するα-tACSはTPD閾値を低下させ,左一次体性感覚野に対してはTPD閾値に変化を及ぼさないことが明らかとなった.さらに,領域ごとのTPD閾値の変化量の比較では,左一次体性感覚野と比較して左後頭頂皮質に対するα-tACSは,有意にTPD閾値を低下させることが明らかとなった.以上のことから,TPD向上には後頭頂皮質の働きが重要であるというこれまでの先行研究結果を支持する結果を得た. 今後は上記の結果から後頭頂皮質の安静時脳活動に着目し,被験者ごとの後頭頂皮質の安静時脳波を測定し,個人特性を明らかにする.その上で脳波の個人特性に合わせたtACS刺激がより効果的なTPD閾値の低下をもたらすかを明らかにする声とを目指す.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の予定通り,tACSによりTPDを効果的に向上させる皮質領域が後頭頂皮質であることを明らかにし,その結果を国際誌に投稿した. 今後はより効果的な刺激方法の開発のため,被験者ごとに脳波測定を実施し,脳波の個人特性に合わせたtACS刺激を用いてTPDをより効果的に向上させる刺激方法を明らかにすべく,引き続き実験に取り組んでいく.
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの影響により実験の遂行に遅れが生じることが予想される.得られたデータから順次解析を行い問題点を抽出していくことで,順次得られたデータをスムーズに処理していけるよう実験を進めていく.
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Causes of Carryover |
当該度参加した学会が新型コロナウィルス感染拡大の影響でWEB開催となったため旅費が不要となり,計上していた予算を使用しなかった.次年度参加予定の学会参加費に充当することに加え,新たに取得したデータをまとめて論文を投稿する際の投稿費として使用させていただく予定である.
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