2021 Fiscal Year Research-status Report
吸気に着眼した新たな鼻咽腔閉鎖機能の訓練方法の検討
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20K19440
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
小林 理香 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), その他部局等, 研究員 (90728271)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 鼻咽腔閉鎖機能 / 吸気流量 / リハビリテーション |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、吸気流量に着眼した新たな鼻咽腔閉鎖機能の訓練方法の提案に向けて、安全性が確立されている喘息患者用の簡易的な測定機器であるインチェック(経口吸気流量計)を用いて鼻咽腔閉鎖不全の患者に対する訓練効果を測定し、音声障害や構音障害等におけるリハビリテーションへの臨床応用を検討することを目的としている。 鼻咽腔閉鎖不全の登録患者数は少なくまだ5例であるが、そのうち4例は3ヶ月間の訓練期間を終えている。程度にはばらつきがあるものの4例ともに改善が見られている。 症例数は少ない状況ではあるが、鼻咽腔閉鎖機能および訓練方法に関するDVDを作成しており近々納品予定である。DVDにより患者、家族にとって鼻咽腔閉鎖機能について理解しやすくなり、訓練方法について標準化することができ再現性が高められると考えられる。 また研究計画では3年次に取り組む予定であったが、吸気を用いた訓練は鼻咽腔閉鎖機能にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために吸気時のMRI撮影を今年度行った。3名の健常者が「非鼻音発声」の他、「強く吸う」「強く吐く」「弱く吸う」「弱く吐く」それぞれのタスクを仰臥位で30秒間繰り返し行い、鼻咽腔閉鎖の違いについてMRIの画像より検証した。その結果「強く吸う」では他のタスクに比べ、軟口蓋が最も高く挙上し咽頭後壁にもしっかりと付着することが明らかになった。今回の生理実験では鼻咽腔閉鎖不全のない健常者のみを対象としており、さらなる検証が必要だが、鼻咽腔閉鎖機能の訓練方法として「強く吸う」は「強く吐く」に比べ、よりしっかりと軟口蓋が挙上するように訓練できると考えられる。インチェックを使用した訓練効果に関してはすでに鼻咽腔閉鎖不全患者4名のデータは取得しておりAuris Nasus Larynx.2019で発表したが、その有効性は今回の生理実験の結果によっても裏付けられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
目標症例数は多く掲げているが、もともと鼻咽腔閉鎖不全の患者の数は少なく、症例登録数はまだ5例である。 研究計画では3年次に取り組む予定であった吸気時のMRI撮影を今年度行った。また患者、家族に理解を促すために鼻咽腔閉鎖機能および訓練方法に関するDVDを作成中であり近々納品予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画では3年次に取り組む予定であった吸気を用いた訓練は鼻咽腔閉鎖機能にどのような影響を及ぼすかを明らかにするために吸気時のMRI撮影を今年度行った。英語論文を執筆し、現在投稿中である。また学会発表も検討している。 鼻咽腔閉鎖不全の患者数は少ないが、少ないながらも可能な限り症例を集めていき、吸気を用いた鼻咽腔閉鎖機能の訓練方法の有効性を検証する。そして今までは対象患者に対して口頭で症状や訓練方法について説明していたが、近々鼻咽腔閉鎖機能および訓練方法に関するDVDが納名品予定であり、今後は対象患者にはDVDを見て頂き理解を促す。
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Causes of Carryover |
コロナの影響で現地で学会が開催されず、学会に赴くことはできなかった。また、症例数が少ないということも理由の一つとしてあげられる。次年度は現地開催の学会に参加する他、可能な限り症例も集める。そして近々納品予定であるDVDの支払いにも使用する予定である。
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