2020 Fiscal Year Research-status Report
診療情報データベースを用いた心臓リハビリテーションの多面的な有効性検証
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20K19441
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Research Institution | National Hospital Organization Headquarters |
Principal Investigator |
金沢 奈津子 独立行政法人国立病院機構本部(総合研究センター), 診療情報分析部, 主任研究員 (50762209)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 心臓リハビリテーション / DPCデータ |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、心筋梗塞患者に対する入院中心臓リハビリテーションの有効性に関する研究結果を取りまとめた。同研究では、入院中の心臓リハビリテーション参加者は非参加者に比べ、その後の再入院率が19%、再手術率が26%低いことを明らかにした。国内の大規模データで心臓リハビリテーションの有効性を検証した数少ない報告であり、我が国におけるエビデンスの構築に寄与するものと考えている。同結果をまとめた論文は、国際誌にて発表済である。 さらに、心臓リハビリテーションの普及動向に関する研究結果のとりまとめも行った。この研究では、2010年からの8年間で、心臓リハビリテーションを実施する病院が32%から57%に増加し、入院中の心臓リハビリテーションの参加率は18%から39%に上昇した一方で、外来心臓リハビリテーションへの参加率は1.4%から2.5%と極めて低値に留まることを報告した。また、これらの参加率は疾患により大きく異なり、急性心筋梗塞患者や心臓血管術後患者では高く、安定狭心症患者や末梢動脈疾患患者で低いことが分かった。わが国における心臓血管疾患患者の再発予防治療の質向上に向けた重要な知見を得たと考えている。同結果をまとめた論文は、現在投稿中である。 さらに、次の課題として、心不全患者に対する心臓リハビリテーションの有効性の検証を進めるべく、研究計画の作成、倫理審査、データの抽出を完了させ、現在データクリーニングを進めているところである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナウイルス感染症の流行拡大により、一時的に勤務体制に影響があったが、研究の進捗にそれほど大きな遅れは生じていない。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、まず心不全患者の心臓リハビリテーションの有効性に着目した研究を進める予定で、解析方法の検討および解析を順次進める方針である。その後は、検証の対象を他の心疾患患者に広げる予定である。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、予定していた国内外の学会や研究会への参加を見合わせるなど、研究活動に変更が生じた。次年度も影響を受ける可能性はあるが、状況にあわせて研究活動をすすめる予定である。
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