2023 Fiscal Year Annual Research Report
心臓手術前のHMB投与による、周術期身体機能改善ならびに予後改善効果の検証
Project/Area Number |
20K19447
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Research Institution | Osaka Health Science University |
Principal Investigator |
小川 真人 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 講師 (70787192)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | HMB |
Outline of Annual Research Achievements |
日本は、超高齢社会により心臓手術対象患者も高齢化している。そのため高侵襲である 心臓手術後の身体機能低下が大きな問題となっている。そこで本研究の目的は、高齢心臓外科患者における手術前からの積極的なβhydroxy-β-methylbutyrate (HMB)経口投与による新たな栄養介入が術後身体機能低下の抑制ならびに術後合併症の減少効果について検証することである。このHMB投与による影響を明らかにすることで、術前の栄養療法の標準化を図ることができ、かつ効果的なリハビリテーションの提供、患者の健康関連QOLの改善に大きく寄与すると考えられる。 本研究では、心臓手術患者患者44名をリクルートし、介入群22名と対照群22名にランダムに割り付けを行い、前向きに追跡した。骨格筋量、6分間歩行距離、身体活動量、握力、膝伸展筋力、QOL(SF-36)、採血データを評価項目とし、baseline(開始前)、手術直前、手術後2週後に評価を実施している。 HMB群は対照群と比較して、術後の6分間歩行距離低下が有意に抑制されていた。筋力や身体機能においてもHMB群で有意な低下抑制効果が見られたが、筋量に有意差は認めなかった。周術期合併症の発生率にも両群に有意差を認めなかった。 本研究結果から、心臓術前のHMB摂取は、周術期の運動耐容能および身体機能低下に対して効果的であることが示され、予備能の低下した高齢者に対してHMB摂取は有用な治療となりえることが示唆された。 本研究結果は術前の標準的なリハビリ・栄養介入になりえるものであり、患者の健康関連QOLの改善に大きく寄与すると考えられる。
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