2020 Fiscal Year Research-status Report
Examination of ischemic tolerance exercise and microRNA in hippocampus
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20K19449
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
高田 忠幸 香川大学, 自治体病院支援・推進医学講座, 客員准教授 (10714272)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2022-03-31
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Keywords | micro RNA / 乳酸 / 運動 / 海馬 / 一過性全脳虚血 |
Outline of Annual Research Achievements |
microRNA(miRNA)はタンパク質をコードしない小型一本鎖RNAである.このmiRNAが標的messenger RNA(mRNA)の翻訳の中断,あるいは遺伝子発現を制御していることが明らかとなってきた.脳虚血における神経細胞障害の機序においてもmiRNAが重要な役割を担う可能性が指摘されているものの,いまだ詳細な機構は解明されていない. 1994年にスナネズミを用いた実験で,一過性全脳虚血負荷を行う前に運動を行っておくことで,アンモン角の神経損傷を軽減し,神経細胞が保存されることが初めて報告された.さらにそれ以後には、運動の過負荷が脳を損傷する可能性があることも報告されている. 本研究では,これらの背景から乳酸値の上昇のない運動を虚血耐性運動と定義して,運動負荷の有無の間で海馬のmiRNAの発現を比較する.miRNAの発現が虚血耐性運動の介入によりどのような変動を認めるか評価する.虚血後の認知機能を評価し,組織学的にも変化を比較し,分子レベルでの虚血耐性が獲得されるかを検討することを目的とする. さらにそのmiRNAの中で神経保護機能を有するmiRNAが同定できれば脳虚血に対する予防的治療の対象となり得るため,合わせて評価を行っていく. 研究は計27匹のスナネズミを用い,虚血群(Isch)、運動+虚血群(Ex+Isch),シャム群(Sham)の3グループに分けた。miRNAの解析に各グループ8匹用い,海馬の組織学的評価に各グループ1匹用いた.Ex+Isch群はトレッドミル運動を週5日間,4週間行い,Isch群とEx+Isch群に5分間の両側総頸動脈閉塞による一過性の全脳虚血術を行った.72時間後にY迷路を用いて短期記憶や行動障害度の機能評価を行い,脳サンプルを摘出し解析した.運動の強度を評価する手段として血清乳酸レベルを用い,Ex+Isch群では4週の運動直後測定を行い,その他の群では脳サンプル摘出前に測定した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CA1の神経細胞はIsch群でのみ優位な神経細胞の脱落を認めた.自発行動量は各群に有意差を認めなかったが,短期記憶はIsch群で低下し,Ex+Isch群では保たれていた.乳酸値は各群に有意差を認めなかった.虚血により変化を来たし,かつ,虚血耐性運動を負荷することで保存されたmiRNAは20種あり,虚血によるアップレギュレートが軽運動で抑制されたmiRNAは14種(mmu-miR-211-3p, -327, -451b, -711, -3070-3p, -3070-2-3p, -3097-5p, -3620-5p, -6240, -6916-5p, -6944-5p, 7083-5p, -7085-5p, and -7674-5p),虚血によるダウンレギュレートが軽運動で抑制されたmiRNAは6種(mmu-miR-148b-3p, -152-3p, -181c-5p, -299b-5p, -455-3p, and -664-3p)認めた. 現在はこれらの相互作用や機能評価を行っている.
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Strategy for Future Research Activity |
今回確認されたmiRNAは,直接的に認知機能の変化と結びつくものも確認されたが,詳細な機能については引き続き解析を行っている.虚血後の変性と考えられる二次性の変化を反映している解析結果も得られてきている. 今後は追加研究として,さらに短時間の虚血急性期のmiRNAの発現の変化を調べ,直接的に虚血状態に働きかけるmiRNAを同定し,その機能評価も行っていきたいと考えている.
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Causes of Carryover |
コロナ禍のため学会活動に参加することを控えた.そのため旅費等の予算が予定より残存したが,これらは翌年度には参加予定である.
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Research Products
(2 results)
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[Presentation] Light exercise induces ischemic tolerance through modulation of microRNAs in the gerbil hippocampus2020
Author(s)
Tadayuki Takata, Wakako Nonaka, Hisakazu Iwama, Hideki Kobara, Kazushi Deguchi, Hisashi Masugata, Tetsuo Touge, Osamu Miyamoto, Takehiro Nakamura, Toshifumi Itano, Tsutomu Masaki
Organizer
第61回日本神経学会学術大会